2020 Fiscal Year Research-status Report
Study of seismic behavior of the fill dam with a concrete core wall
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20K06296
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
岡島 賢治 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (90466805)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コンクリート心壁 / 堤体 / 弾塑性有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリート心壁を模擬した準静的な傾斜実験のシミュレーションを行った.次年度予定している傾斜実験は,傾斜によって鉛直方向の重力を地盤垂直方向と地盤平行方向に分解させることで,地盤平行方向の分力を水平地震力として作用させる実験となる.傾斜実験は,地震の安定性解析において震度法とよばれるレベル1地震動の安定解析に対応している.わずかな傾斜・安定を繰り返しながら傾斜角度を加えていくため,準静的な実験となる.このとき,模擬コンクリート心壁の有無による破壊挙動の違いを明らかにする.実験には,幅1,000mm奥行き200mm高さ600mmの土槽を適用する予定である. シミュレーションを行うにあたって,土質材料は,材料特性および弾塑性有限要素解析におけるパラメータについて既往の研究による知見の蓄積が多い豊浦砂の使用した.豊浦砂については,乾燥砂の場合は傾斜時に表層すべりを起こし,模擬コンクリート心壁まですべり面が発達しない可能性があることから,粘着力を増すために5%含水比の豊浦砂を表すパラメータを設定した.シミュレーションは,弾塑性有限要素解析(Nonsolan)を用い,傾斜実験に対応した再現解析を試み,地盤変位,コンクリート心壁のひずみ,土圧などから検証した.まず,斜面地盤のみの解析結果より,一定深さのすべり面での破壊が生じることを確認し,次に,模擬コンクリート心壁が折損する場合のシミュレーションを行った.法肩部に上端から下端までの模擬コンクリートを設定したシミュレーションを行った結果,コンクリートを折損するパターンの破壊様式とはならず,模擬コンクリートにかからないすべり面での破壊が確認された.次年度は模擬コンクリートの位置を変化させたシミュレーションを複数パターン行い,模擬実験に対応させる予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画においては,本年度模擬実験の完了を予定していた.しかしながら,新型コロナの影響で,実験を行う予定の学生の登校が困難となり,研究の開始時期も遅くなってしまった.そのため,模擬実験のシミュレーションによる数値実験を先行して行うこととしたが,非常事態宣言の再発令などからシミュレーションパターンを増やしての解析を行うことが十分できなかった.このため,本年度計上していた模擬実験のための研究費についても,次年度に繰り越し,次年度模擬実験とシミュレーションによる弾塑性有限要素解析の有効性の検証を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究ではコンクリート心壁をもつ斜面を想定し,Nonsolanによる弾完全塑性有限要素解析手法を適用した.解析には一点積分を用いた,4節点アイソパラメトリック要素を用いた.Explicit型の動的緩和法とリターンマッピング法を結合し,応力―ひずみ関係においてはひずみ軟化(粒子径効果)を考慮可能な構成式を用いた.地盤材料の降伏関数にはMohr-Coulomb型モデルを,塑性ポテンシャルにはDrucker-Prager型モデルを用いた.また塑性ポテンシャルは非関連流れ則が適用され,ダイレイタンシー角はRoweのストレスダイレイタンシー関係を修正した式を用いて求められる.さらに,弾塑性問題では全ひずみ増分は弾性ひずみ増分と塑性ひずみ増分の和で表されるが,要素面積に対するせん断帯面積の面積率の近似パラメータを塑性ひずみ増分に乗じることで要素でのせん断帯の効果を表現した.地盤材料は含水比5%の湿潤豊浦砂と,心壁にコンクリート材料を想定した含水比5%の湿潤豊浦砂の材料定数は岡島ら(2013)の模型実験から詳細なパラメータが設定可能である.また,コンクリート材料の材料定数は仮の材料定数を与えている. このように,シミュレーションのためにせん断帯を考慮した解析モデルと地盤材料のパラメータ設定までは完了している.また,コンクリート壁を持つ斜面のシミュレーションについても,本年度1パターンの解析ができていることから,すみやかにパターンを増やした解析が可能と考えている.また,次年度はコロナ禍においても,学生が極力大学に登校できるような大学側のシステムも整備されつつあることから,模擬実験についても早期に開始できると考えている.
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Causes of Carryover |
令和2年度予定していた模擬実験がコロナ禍により学生の登校ができなかったことから令和3年度に行うこととした.このことで令和2年度に使用予定の模擬実験のための予算を令和3年度に持ち越して使用することとした. 令和3年度は,コロナ禍においても学生が登校できる大学側のシステムも整備されつつあり,模擬実験は早期に開始可能と考えている.令和2年度に予定していた予算については,計画的に使用する予定である.
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