2021 Fiscal Year Research-status Report
Landslide risk characterization using integrated wireless sensor network system for point and area-averaged measurements
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20K06299
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
宮本 英揮 佐賀大学, 農学部, 准教授 (10423584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 真也 琉球大学, 農学部, 教授 (30336359)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | IoT / 宇宙線中性子 / 土壌水分量 / 加速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍に伴う研究手順の一部変更に伴い,2021年度は,次の3点を中心に調査・検討を実施するとともに,リアルタイム危険度評価および機械学習による予測技術の開発に必要となる斜面ビッグデータの収集を行った。なお,ビッグデータ収集については,現在も継続中である。 ①点の観測ネットワークの構築と運用:熊本県阿蘇郡南阿蘇村の火山灰急斜面と宮崎県日南市の泥岩斜面の計2ケ所に,気象観測用センサ類一式およびカメラに加え,3軸加速度・土壌水分センサを実装したIoTシステムを分散配置し,気象および地中環境の観測に着手した。ただし,気象条件や被覆植生による無線通信障害が発生し,データの欠測がたびたび認められ,それが機械学習を行う際の障害になることから,欠測対策の強化を図った。 ②現地土壌を用いた土壌水分センサの校正:先述の2ケ所の土壌を採取し,それを供試材料として土壌水分センサの校正式を求める室内実験(チャンバ法,充填法)を行った。得られた校正式に基づき,高精度の土壌水分・誘電率計測を実施できるようにした。 ③面の観測システムの運用:前年度に構築した宇宙線中性子土壌水分観測システム(COSMOS)の校正法,即ち,スイスにおける中性子観測データと地磁気強度を活用した校正法に基づいて構築した熊本県阿蘇郡南阿蘇村における面的土壌水分量推定モデルにより,斜面の面的土壌水分量の経日変化を明らかにした。また,ハンディタイプの市販TDRセンサを活用して,COSMOSによる観測面内の表層土壌水分量の時空間変動を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍による研究上の制約が大きかったため,研究実施手順・方法を一部見直すことが必要となったが,2021年度中に「点と面の観測ネットワーク」の現場実装およびビッグデータ収集を実施できたことから,概ね順調にすすんでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
3ケ年計画の最終年度にあたる2022年度は,次の3点について検討を行う。 ①2地点において取得した各種センサによるビッグデータを整理し,機械学習用のデータセットを構築する。そして,観測地点の半径100km以内の気象庁観測点の降水量ビッグデータを説明変数として,斜面内部の土壌水分量の予測モデルを構築するとともに,その予測精度を評価する。 ②斜面に構築した加速度センサ網のデータを解析し,地中の異常事象の検出とパターン分類を行うとともに,その検出機能をクラウドに実装する。そして,測定されたビッグデータを検証用データとして,その検出精度の評価と向上を試みる。 ③ビッグデータの解析結果に伴い,データに基づく斜面危険度評価を試みる。また,データへのアクセス権を行政・地域住民等の一部の関係者に開放し,リアルタイムデータの効果的な活用方法について検討する。
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Causes of Carryover |
2022年度に,観測現場の野焼きが実施される予定であることが判明したため,全観測機器を一時撤去したうえで,再設置する作業が必要となる見込みである。撤去・再設置作業に必要となる人件費・旅費・運搬費などを次年度に繰り越したうえで,2022年度に実施する調査・研究とともに撤去・再設置作業を実施する予定である。
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