2020 Fiscal Year Research-status Report
農業用水路の長寿命化とライフサイクルコスト低減を実現する目地充填工法の開発
Project/Area Number |
20K06302
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
森 丈久 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (10502841)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低温硬化性 / 早期強度発現 / 止水性 / 水中耐久性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1成分形ポリウレタン系(PU-1)、2成分形ポリウレタン系(PU-2)、1成分形シリコーン系(SR-1)、2成分形シリコーン系(SR-2)、開発中の3成分形シリコーン系(SR-3)の各シーリング材を対象に、硬化状態を把握するための引張特性試験、深部硬化と内部硬化性を確認する硬化確認試験、背面水圧が作用することを想定した耐水圧試験を実施した。試験の結果、①各シーリング材は低温条件下で硬化速度の低下が生じ、23℃と0℃で1~2週間程度の強度発現に差がある、②多成分形シーリング材1成分形シーリング材よりも強度発現と硬化速度が速く、各シーリング材の硬化速度を比較するとSR-3>PU-2>SR-2>PU-1>SR-1の順となる、③材齢1日から7日の若材齢で0.02MPa程度の水圧が作用しても膨れが生じるのみであり、破断や漏水は生じないが、作用水圧が0.02MPaよりも高くなると、1成分形および2成分形シーリング材は風船状の膨れや破断が生じる、④各シーリング材の膨れは、長時間水圧が作用し続けると増加し、特に低モジュラスで伸び率が大きいシーリング材は膨れの増加率が大きくなる傾向にある、⑤硬化速度が最も速い開発中のSR-3が水圧作用時の膨れが最も小さく、若材齢でも止水性が期待できることが明らかとなった。 また、1成分形変成シリコーン系,2成分形変成シリコーン系,1成分形シリコーン系,3成分形シリコーン系,1成分形ポリウレタン系,2成分形ポリウレタン系の各シーリング材を対象に、水中環境下での耐久性試験(最長52週)を開始し、試験途中の水中設置13週経過時点において、開発中の3成分形シリコーン系シーリング材は、吸水率が小さく、水中設置環境でも引張特性の低下傾向が見られず、耐水性に問題がないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画で予定していた、①低温下での硬化速度や強度発現状況の確認試験、②若材齢時に背面水圧を作用させる耐水圧試験、③水中環境下での耐久性試験、④温水浸漬による劣化促進試験、⑤耐候性試験、⑥可変型目地試験体による動的試験のうち、令和2年度は①および②の試験について実施し、得られた研究成果について論文にまとめて発表したところである。また、③および④の試験についても開始し、③については途中段階での結果をまとめて学会で発表している。なお、令和2年度に実施した上記の試験では、開発中の3成分形シリコーン系シーリング材試作品も使用し、新規開発のシーリング材の性能評価を合わせて行っている。 以上のように、本研究は予定どおり順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
開発中の3成分形シリコーン系シーリング材試作品や既製のシーリング材を使用して、温水浸漬による劣化促進試験、耐候性試験、可変型目地試験体による動的試験を実施し、各シーリング材の性能評価を行うとともに、従来の性能評価試験方法の見直しを行う。また、開発中のシーリング材の現場での性能評価を行うため、実際の農業用水路を用いて試験施工を実施し、施工性の確認や施工後のモニタリングによる性能確認調査を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の流行により、出張による東京での研究打ち合わせや県外での現地調査が困難となったため、国内旅費については当該年度分の執行ができず、次年度使用となった。次年度使用分については、研究成果の学会発表の旅費や参加費に利用する予定である。
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