2020 Fiscal Year Research-status Report
土壌水分・熱移動モデルと種子出芽モデルによる野菜播種時の最適な灌水方法の提案
Project/Area Number |
20K06307
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
亀山 幸司 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, 上級研究員 (90414432)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 灌水 / 地温 / ニンジン種子 / 発芽 / 出芽 |
Outline of Annual Research Achievements |
夏季ニンジン播種時の出芽安定化のための適切な灌水方法について検討するため,ニンジン種子の室内発芽試験と圃場出芽試験を行った. 温度4段階,水分ポテンシャル6段階で発芽試験を4連で行った.1,2,3,4,6,8,10,12,14日後に発芽した種子を取り除きながら,発芽粒数を記録した.発芽率は,播種粒数(50粒)に対する発芽粒数の比率から求めた.発芽試験の結果から,35℃以上の高温ではニンジン種子の発芽が不可能であることが示された. 圃場出芽試験は3つの灌水処理区:①無灌水区,②朝のみ(5 mm)灌水区,③朝夕(各2.5 mm)灌水区で試験を3連で行った.それぞれの区画形状は1.1 m×1.1 mとし,初期状態として全ての区に5 mm灌水をした後,縦横10 cm間隔で深さ約5 mmに1区あたり合計100粒播種した.その後,20日間(2019年8月6~25日)の出芽数を記録し,出芽率を播種粒数(100粒)に対する出芽粒数の比率から求めた. 試験期間中,夜間は最低25℃付近まで低下し,昼間は最高45℃付近まで上昇する日変動を示した.室内発芽試験の結果から35℃以上における発芽はほぼ不可能であることから,夏季のニンジン種子の発芽には夜間の土壌環境条件の寄与が大きいことが推察された. 連続干天に伴う土壌水分低下により無灌水区では出芽率が大きく抑制された.また,夜間の土壌水分の違いに対応して,1日2回灌水区の方が1日1回灌水区よりも出芽速度及び出芽率が高いことが明らかとなった.このため,夕方灌水が夏季ニンジン播種時の出芽を安定化させる可能性が示唆された.更に,灌水方法の違いが種子出芽に対する影響を評価する際に土壌水分ポテンシャルセンサーによる地温・水分の測定値が利用できる可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニンジン種子の室内発芽試験と圃場出芽試験を行い,ニンジン種子の発芽・出芽条件と水分・温度との関係を明らかにすることができたため,おおむね順調に進展していると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,夕方1回灌水による夏季ニンジン播種時の出芽安定化に与える影響を明らかにするとともに,種子出芽安定化のための灌水スケジューリングを提示するための圃場試験を実施する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により,予定していた学会発表を行うことができなかった.発生した残額は次年度,学会発表や調査及び研究打合せのための出張旅費として使用する.
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