2021 Fiscal Year Research-status Report
放射線で光る粉を用いた植物体内元素のライブイメージング法の開発
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20K06317
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
杉田 亮平 名古屋大学, アイソトープ総合センター, 講師 (60724747)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射線イメージング / 植物栄養 / ライブイメージング / シンチレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究者はこれまで放射線イメージング装置の開発を行ってきた。撮影原理は、植物体内から放出される放射線をシンチレータ(放射線を光に変換する素材)により可視光に変換し、その可視光をCCDカメラで撮像するものである。これまでは板状シンチレータに植物を固定して撮影を行ってきた。一方で植物組織は湾曲している他、表面が凹凸状である。特に双子葉植物の葉は単子葉植物の葉と比較して顕著である。このような複雑な形状を有する植物を二次元的に板へ固定するためには植物をシンチレータに圧迫させる必要があり、固定により植物が大きく損傷する場合がある。損傷しないように緩く固定した場合、植物組織とシンチ レータとの間に空間が生じることやシンチレータとの接触面積が小さくなることで、感度、解像度、および定量性が低下する。そこで本研究は、粉状シンチレータを植物に塗布することで負荷をかけることなく植物とシンチレータとを密着させる新しいイメージング手法の開発を行う。本研究では、これまで様々な化合物から新規シンチレータの探索を行い、有力なシンチレータを多数発見してきた。本年度は、シンチレータ能が高い化合物のシンチレータの特性を電子線形加速器NINACを用いて解析した。その結果、発光波長は440nmであり、多くの放射線検出器の最大感度域であるため、非常に検出効率が高いことが期待される。一方で時間分解能は、およそ10nsであり、既存のシンチレータよりも時間分解能は低下する。加えて、植物に適用させる際に懸念される疑似発光は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験計画段階では予想していなかった高輝度な新規シンチレータを多数発見している。加えて、ハイスループットでの新規シンチレータの探索手法を開発したため、今後さらに発見できることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
新規シンチレータはいくつかの国内外企業から大きな期待を持たれている。本研究は植物をテーマとしているが、植物のみならず放射線計測に関わる全ての分野への波及効果が期待できる。そこで放射線計測器へ適用させるための最適化を図り、実用化を目指す。特に、溶媒、保存性、疑似発光、消光においては、様々な状況での検討が必要である。加えて、これらのシンチレータの植物への添加方法を探索する。さらには、新規シンチレータは、化学修飾など改良が可能であり、高輝度化を目指すとともに、シンチレータの発光メカニズムを解析する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により購入等ができなかった消耗品が発生した上、出張ができなくなったこと、および学会がオンラインにより移動費が削減されたために、予定より出費額が少なくなった。繰越した予算においては、さらなる新規シンチレータの探索、およびシンチレータの評価に使用する。
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Research Products
(2 results)