2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of 365 Days Collaborative Small Agricultural Robot
Project/Area Number |
20K06320
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
森尾 吉成 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (90273490)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 農業ロボット / 自律走行 / 環境認識 / 柑橘 / LiDAR-SLAM / visual-inertial SLAM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,作業者と協働可能な365日稼働する農業ロボットの開発を目的とし,単一作物の特定作業に限定されたロボットではなく,複数の作物を対象に作業できるロボットを開発してロボットの年間稼働率を向上させることを狙いとした.エンドウ豆を対象にした研究初年度とは異なり,研究2年目の今期は,新たに柑橘を対象にし,果樹園内で人間とロボットが協働するために必要な環境認識技術を開発した.具体的には次の4つのシステム,1)果樹園内を移動するロボットの自己位置と姿勢を検出し,環境地図を作成するシステム,2)3D LiDARを用いて,広大な果樹園内を移動する複数の作業者の動きを単一センサの測定限界の範囲内で追跡し,環境地図にマッピングするシステム,3)IMU付きステレオカメラを用いて果実の3次元位置を環境地図にマッピングするシステム,4)3D LiDARとIMUとステレオカメラを用いて,収穫作業中の作業者やコンテナを環境地図上でリアルタイムに追跡するシステム,をそれぞれ開発した.1つ目のシステムでは,LiDAR-SLAM法を用いて,ロボット車両の自己位置と姿勢を頑健に検出し,作成した環境地図が,時期を少し変えた2回目の走行においても利用できる結果を得た.2つ目のシステムでは,果樹園内を移動する複数作業者の位置を,3D LiDARセンサを1台使用した独自のアルゴリズムを用いて,センサの測定限界である100 mまで頑健に検出できる結果を得た.3つ目のシステムでは,visual-inertial SLAM法を用いて果実を環境地図にマッピングし,ロボット収穫ルート,収穫のための停止位置,収穫率をシミュレーション可能な独自のシステムを開発した.4つ目のシステムでは,ロボットと作業者が共有する環境地図上に,収穫中の作業者の位置,作業者滞留時間,コンテナの位置や個数に関する情報を頑健にマッピングした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
農業ロボットを自律走行させるために必要な環境認識システムや作業者の行動を把握するための作業者追跡システムといったソフトウェア側の開発は順調に進んでいる.特に,ロボットの自己位置姿勢検出や環境地図の作成,環境地図上への作業者,作物,果実,資材のマッピングを行うシステムが開発できたことから,ロボットのナビゲーションやロボットの作業シミュレーションを行える段階まで研究を進めることができた.一方,農業ロボットの走行部や作業部といったハードウェア側の開発はあまり進んでこなかった.しかしながら,この度,ロボットマニピュレータを搭載する自動走行可能なロボット車両を準備できることになったため,今後は,ほとんどの開発時間を,このロボットを制御するソフトウェアの開発に集中させることができる状況になった.ハードウェア側の開発については,このロボット車両に搭載するための部品の設計を行う.以上のように,ハードウェア面での開発の遅れが取り戻せたことから,研究は,ほぼ当初計画通りのスケジュールで進められるようになった.
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度となる今年度は,柑橘果実栽培収穫作業現場で年間を通して行われる作業を対象として,これまで開発してきた技術を活用しながら,ロボット車両とマニピュレータを稼働させるために必要なソフトウェアとハードウェアの開発を行う.ソフトウェアの開発では,1)圃場毎に,ロボットが安定して走行できる領域を把握し,ロボットが圃場内を巡回する時に走行するルートや,ロボットが作業する時に作業の種類ごとに変える走行ルートといった,作業に応じてロボット車両が走行するべきルートを環境地図上に自動生成するシステムの開発,2)走行ルートに沿ってロボット車両を精度よく走行させるために必要なシステムの開発,3)走行ルートに沿って作業場所に移動した後,ロボット車両やマニピュレータ部が可動可能な空間を認識するためのシステムの開発,4)ロボットが栽培収穫作業の一部の作業を行うために必要な環境認識システムの開発,といった開発を行う.ハードウェアの開発では,ロボットマニピュレータが栽培収穫作業を行う際に必要となる部品を設計開発する.以上のように,作業の一部ではあるが,ロボットが農作業支援サービスを提供できるように,システムの開発を進める.
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