2021 Fiscal Year Research-status Report
Analyze of rooting process of vegetable transplants based on relation between plant water loss and its water potential decreasing
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20K06327
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小沢 聖 明治大学, 農場, 特任教授 (40360391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蜷木 朋子 明治大学, 農場, 特任講師 (20759724) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | P-V Curve / トマト水ほう症 / トマト品種 |
Outline of Annual Research Achievements |
P-V Curveが影響するとみられる作物反応としてトマトの水ほう症に着目した。トマトの水ほう症は体内水分の急激な変化による細胞のバーストで発生するとされている。Miyama and Yasui(2021)は、水ほう症の発生促進環境下での12品種の苗の被害度が、Shoot/Root(S/R)率が高い品種ほど多いことを解明したが、これらの相関は十分には高くなく、他の要因の関与が考えられた。そこで、S/R率とP-V Curveの複合要因が被害度の品種間差に及ぼす影響を解析した。 12品種を育苗し、4葉期に達した苗を茎の地際上3cmで切断し、プレッシャーチャンバーに装填し、段階的に0.6、0.8、1.0MPaに加圧した。それぞれの加圧にともなう茎断面からの出液量を測定した。0.6MPaから1.0MPaに加圧して得られた総出液量に対する、0.6MPaから0.8MPaの加圧での出液量を「低圧出液率」と定義した。この値が大きいと蒸散の変動にともなう水ポテンシャルの変動が大きくなる。 P-V Curveには品種間差があった。低圧出液率とS/R率は被害度と正の相関関係にあり、それぞれの相関係数はR2=0.53***、R2=0.39**で、低圧出液率とS/R率は独立した要因であった(R²=0.09)。そこで、回帰直線から各品種の低圧出液率における被害度を求め、実際の被害度との誤差をS/R率で補正して推定した結果、高い相関(R2=0.72***)が得られた。このことから、水ほう症の被害度は、低圧出液率が低く、S/R率が低い品種で少ないといえた。定植後、全品種で低圧出液率は大きく低下した。 12品種のうちで被害度が最も低かった「麗容」では低圧出液率とS/R率の低さが、次いで被害度が低かった「湘南ポモロンゴールド」では低圧出液率の低さが被害度の低さに寄与した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初想定したキャベツとハクサイの苗の低温貯蔵がP-V Curveに及ぼす影響は認められなかった。そこで、P-V Curveが影響するとみられる作物反応として育苗中に発生するトマトの水ほう症に着目したところ、新しい知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
トマトの水ほう症は、育苗期間中だけでなく、定植後にも発生し、多大な被害を及ぼす生理障害である。細胞内の膨圧の変化で発生し、要因としてShoot/Root率に加え、葉のP-V Curveが影響していることを解明した。水ほう症の発生が近年増加した背景には、生産性の高い品種の普及があるとみられる。この研究過程で、さらに根からの出液のサーカディアンリズムが影響することが明かになり、このメカニズムの解明と制御に研究の方向を向ける。
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Causes of Carryover |
学会のオンライン開催、国際学会の中止により予定より支出が抑制された。 当初予定になかったP-V Curveとサーカディアンリズムの関連によるトマト水ほう症の発生メカニズム解明に経費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)