2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of specific poise function of Andisol for arsenic reduction in paddy rice; Application of 57Fe tracer
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20K06335
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧野 知之 東北大学, 農学研究科, 教授 (60354106)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 均志 東北大学, 農学研究科, 准教授 (30250731)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 黒ボク土 / 鉄(水)酸化物 / ヒ素 |
Outline of Annual Research Achievements |
黒ボク土は腐植含量が高く、反応性の高い低結晶性の鉄鉱物(フェリハイドライト)を多く含むが、非黒ボク土に比べて土壌の(水)酸化鉄(土壌鉄)が還元溶出し難いとの特異な特性を示す。この原因として、土壌鉄が特異的に還元し難い可能性が想定される。そこで、黒ボク土および非黒ボク土に、安定同位体57Fe資材を添加して湛水培養を行い、57Feをトレーサーとして土壌鉄と資材鉄のそれぞれから培養液中に溶出する鉄を分別定量して両土壌の相違を比較した。具体的な培養条件は以下のとおりである。密栓ビンに乾土相当10gの生土と資材0.1gを添加,固液比1:3,30℃で30,60, 90日培養後に嫌気雰囲気下で土壌懸濁液を採取、濾過した。濾液中のAsと鉄同位体比(57Fe/56Fe)をICP-MS,鉄をICPOESで測定した。 非黒ボク土では資材添加に伴い土壌からの鉄溶出量は大幅に減少した。黒ボク土では57Fe資材施用後に土壌からの鉄溶出量の大幅な低減は認められなかった。一方、非黒ボク土では土壌鉄との関連の強いAs溶出量が低下した。以上より、湛水培養に伴う土壌の還元によって供給された電子が非黒ボク土では土壌鉄と57Fe資材に分配される(=土壌鉄と57Fe資材の還元性が類似する)のに対して、黒ボク土では57Fe資材に比べ土壌鉄の電子受容性が低い(=還元し難い)と推察した。非黒ボク土では57Fe資材の施用に伴い、ヒ素の吸着担体である土壌鉄の溶出が抑制されて、As溶出量が低下したと考えられる。 水田への鉄資材施用による水稲のヒ素吸収抑制技術が報告されているが、黒ボク土と非黒ボク土では施用に対する反応性が異なる可能性があり、検討を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、ほぼ計画通りに、①湛水還元に伴う黒ボク土および非黒ボク土の鉄・ヒ素溶出過程の比較解析、②黒ボク土のポイズ機能を利用した水稲のヒ素低減効果の解明に関する知見、③57Feレーサー法の適用に関して着手し、黒ボク土と非黒ボク土における土壌鉄ならびに資材鉄の溶解性の相違に関する知見を得ている。引き続き、複数の土壌を供試して検討を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
57Feトレーサー法による土壌鉄、資材鉄の黒ボク土、非黒ボク土の相違について試料数を増やして検討する。
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