2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism and dissemination of high quality vegetable cultivation technique using local wood biomass and filamentous fungi
Project/Area Number |
20K06337
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮沢 佳恵 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40370613)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 木質バイオマス / 炭素貯留 / 野菜 / 糸状菌 / 環境保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、木質バイオマスを大量に継続して投入しているハウスと、有機栽培等で使われる畜産堆肥を連用しているハウスの比較を行い、それぞれのハウスの環境条件(温度、湿度、CO2濃度)、およびコマツナの収量と品質等の測定を9月、10月、11月の作期でそれぞれ行なった。ハウスのCO2濃度は、木質バイオマス投入直後から1ヶ月程度、最大で6000ppmまで上昇した。また、木質バイオマスを投入したハウスではコマツナの収量およびグルタミン酸濃度が、畜産堆肥を連用しているハウスに比べて高くなった。しかしこの品質向上の傾向は、ハウス内のCO2濃度の上昇とは連動しておらず、CO2濃度の影響は小さいと考えられた。そこで2年目はハウス栽培に限らず、こうした木質チップを利用して栽培を行っている複数の成功した生産者へのインタビューと現地調査を行った。その結果、成功している農家では圃場において糸状菌が目視できるほど増加しており、硬盤層がなく、さらに無機態窒素量は比較的低いことが共通点として挙げられた。また、木質チップだけではなく、中熟堆肥を同時に施用することで糸状菌の発生を促進させている事例があったため、これらの処理を組み込んだ圃場試験を行った。その結果、硬盤層のある深さ30cm付近の最大貫入抵抗値が木質チップと中熟堆肥を組み合わせた処理で有意にコントロールと比べて低くなり、栽培したコマツナの硝酸態窒素が低く、アスコルビン酸が高い傾向となった。
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