2022 Fiscal Year Research-status Report
Effect of non-structural carbon in rice straw on methane emission from rice paddy fields
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20K06348
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
高階 史章 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (30451420)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水田 / メタン / 稲わら / 水稲品種 / 栽培管理法 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在日本で一般的となっている水稲のコンバイン収穫では、収穫後の稲わらは土壌表面に散布・放置され、翌年の水稲栽培時のメタン生成・放出の基質となる。本研究では、登熟期の茎葉から穂への炭素の転流が強く、稲わらの非構造性炭水化物(NSC)含量が低い水稲品種「秋田63号」の特性に着目し、非構造性炭水化物含量の低い稲わらによる次年度水田からのメタン放出削減ポテンシャルを明らかにする。その上で、稲わらの非構造性炭水化物含量が低い水稲品種及び栽培管理法を明らかにすることにより、稲わらの質に着目した新たなメタン放出削減の方法を提案する。 3年目となる2022年度は、前年度の圃場栽培試験により得られたNSC含量の異なる稲わらを施用したポット栽培試験を実施し、稲わらのNSC含量がメタン放出量に及ぼす影響を検証した。その結果、低NSC含量の稲わらを施用したポットのメタン放出量は高NSC含量の稲わらより低く、これまでの培養試験により得られていたNSC含量とメタン生成ポテンシャルの関係をポット試験レベルで検証することができた。 栽培管理法がNSC含量に及ぼす影響を明らかにするため、メタン放出削減を目的とした中干し延長試験により得られた稲わらのNSC含量を測定した。その結果、稲わらのNSC含量は中干し無し<通常中干し(10日間)<中干し延長(20日間)の順に高く、水田の湛水管理が稲わらのNSC含量に影響を及ぼすことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
稲わらのNSCを指標とした低メタン品種選択については、培養試験及びポット栽培試験で有効性が確認されたが、圃場での実証試験が実施できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
低NSC品種を用いた圃場試験については、本研究期間中に一定の成果を挙げることが困難な状況である。そのため、最終年度である2023年度については、環境・耕種条件の異なる栽培試験で得られた稲わらを収集してNSCを測定することにより、NSCを低減する栽培管理法の解明に主軸を置いて研究を進める。過去の栽培試験(施肥試験など)のデータと合わせ、論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
前年度からの繰り越し分に加え、2022年度についても研究計画の細かい修正により、人件費・謝金及び旅費に残額が生じた。コロナ禍により学会出張がなかったことも旅費が余った要因である。繰り越し分については次年度の助成金とあわせて実験補助要員の人件費に充て、過去のサンプルの分析・解析を精力的に進め、研究のさらなる進展を図る。
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