2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on factors that increase or decrease the vigilance behavior of wild animals: the effect of species differences and visual stimuli
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20K06353
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
加瀬 ちひろ 麻布大学, 獣医学部, 講師 (60738772)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 新奇物反応 / 警戒行動 / 探査行動 / 野生動物管理 / 行動の種差 / 個体の特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は野生動物の個体管理への応用を目指し、動物種により視覚刺激が警戒行動にどの程度の影響を与えるか行動的に定量化することを目的としている。令和3年度は令和2年度に収集したデータのさらなる解析を行い、学会での発表を行った。 また、当初はイノシシ、ニホンジカ、ハクビシンを対象に飼育下個体を用いた実験を予定していたが、実験実施予定の施設にてこれらの動物の飼育を終了することとなったため、実験実施が可能な施設の検討を行った。その結果、学内の動物実験委員会より審査を受け、8月以降、麻布大学フィールドワークセンターにて、ニホンアナグマ(以下、アナグマ)を飼育できることとなったため、飼育室の準備、供試個体の確保、供試個体の馴致および実験準備を進めた。 視覚刺激の4つの要素(大きさ、形状、色、動き)がアナグマの警戒行動に及ぼす影響の定量化を目指し、実験区への事前の馴致も兼ねて、実験区へ導入した際の反応性の経日変化(オープンフィールドテスト)を調査した。オープンフィールドにアナグマを1頭ずつ導入し、導入から3時間の行動発現を解析した結果、頭をあげる独特の行動が観察できた。この行動は時間経過とともに減少したことから、探査や警戒行動であると考えられる。また、時間経過と共に移動時間が減少し、休息が増加した。これらの結果はブタやウシ、イノシシにおける同様の研究と同じ傾向を示していた。アナグマは気温の低下に伴い活動性も低下させることから、実験は12月までで一旦終了し、令和4年度から再開する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
飼育下個体の実験を実施予定だった施設が利用できなくなったため、実験実施が可能な施設を検討したが、動物園などでは48時間の連続的な実験操作が不可能であることから、予定していた対象動物での実験実施が困難であった。そこで、麻布大学フィールドワークセンターにて飼育許可が得られ、かつ本研究にて昨年度野外調査対象種の一種であるアナグマを対象に実験を行うことに変更した。アナグマを用いた実験においては、飼育室の準備や個体の馴致に時間を要したことに加え、冬期は活動性が低下するため、当初の予定よりも大幅に実験スケジュールが遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、新奇物の視覚刺激のうち、大きさ、形状、色、動きの4つの要素に注目し、それぞれの要素が野生動物の警戒行動に及ぼす影響を定量化する。アナグマに調査対象を絞りこれらのデータを取得し、事前に取得している飼育下イノシシでの同様の実験結果と比較することで、視覚刺激が警戒行動に及ぼす種差について明らかにする。
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Causes of Carryover |
実験実施のための旅費を計上していたが、当初予定していた通りに実験を進められない状況にあったため、残金が生じた。調査対象種がアナグマに絞られることから、令和4年度も実験地までの出張回数が少なく済み、旅費の支出が抑えられる見込みである。
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Research Products
(1 results)