2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on factors that increase or decrease the vigilance behavior of wild animals: the effect of species differences and visual stimuli
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20K06353
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
加瀬 ちひろ 麻布大学, 獣医学部, 講師 (60738772)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 新奇物反応 / 警戒行動 / 探査行動 / 野生動物管理 / 行動の種差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は野生動物の個体管理への応用を目指し、動物種により視覚刺激か警戒行動にどの程度の影響を与えるか行動的に定量化することを目的としている。令和3年度に引き続き、令和4年度はニホンアナグマ(以下、アナグマ)を対象に飼育下での新奇物提示実験を実施した。アナグマは単独飼育で管理し、新奇物提示実験時は、ワイヤーメッシュで作製した1 m×1 m×1 mの実験区と飼育ケージを連結させた。新奇物は高さ25 cmで白色の三角錐を作成した。この新奇物は、先行的に実施したイノシシを対象とした実験で用いたものと同一とした。色は無彩色とし、形状はイノシシを対象とした図形弁別実験にて、丸、三角、四角のうち最も警戒心を高めた形状であった三角を採用した。大きさはイノシシの目線の高さを考慮して25 cmとした。 本実験では、新奇物の視覚刺激のうち「動き」に注目して固定条件と浮遊(吊り下げ)条件を提示した。条件の提示順序は個体によって入れ替え、順序の影響を排除した。イノシシでは、個体により反応は異なったが、浮遊条件で接触までの時間が長かった個体がおり、「動き」の有無により警戒行動に影響を受けている可能性があった。しかし、いずれの条件でも提示後48時間で慣れが生じた。それに対しアナグマは、提示直後から新奇物に対する探査を開始し、提示数分後には鼻先で接触した。また、固定条件では新奇物を齧る行動も発現した。野外調査においても、アナグマはイノシシに比べて新奇物に対して警戒する行動がほとんど見られなかったが、飼育下においても同様の傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年に新たにアナグマ飼育の立ち上げを行なったため飼育下の実験開始が大幅に遅れたが、令和4年は実験実施によりその遅れを取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたデータ解析を引き続き進め、新奇物に対する警戒行動の種差に関して投稿論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
実験実施のための旅費を計上していたが、調査対象種がアナグマに絞られることから、実験地までの出張回数が少なくすみ旅費の支出が抑えられたため。
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