2020 Fiscal Year Research-status Report
微生物燃料電池を電源とした環境センシング装置の開発
Project/Area Number |
20K06355
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
横山 浩 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (40391370)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 微生物燃料電池 / 環境モニタリング / 発電細菌 / 半永久的発電 |
Outline of Annual Research Achievements |
微生物燃料電池(MFC) とは、発電細菌が無酸素の条件下で有機物を分解する際に生じる余剰のエネルギーを電気として回収する新しいバイオリアクターである。発電細菌は土壌や海底、家畜排泄物など様々な嫌気性環境に幅広く存在している。近年、観測データに基づくスマート農業や地球温暖化、異常気象に対する懸念から、地球規模での環境モニタリングの重要性が高まっている。測定装置を多くの地点に設置する場合、電源確保が問題になる。太陽光と風力による発電は有用な技術であるが、太陽光発電は夜間に発電できず、風力発電も無風では発電できない。一方、MFCは天候に依存せず24時間発電できる利点がある。本研究の目的は、池や川など水のある環境に設置できる低コストで耐久性のある実用的なMFCシステムを開発して、環境モニタリング装置の電源として利用することである。 MFCの負極は、一般的にカーボン系素材が使用されており、金属系電極の利用は稀である。しかし、我々はステンレス鋼の表面を炎で酸化させた電極(炎酸化ステンレス鋼負極)をMFCの負極として使用すると、発電力を増強できることを発見した。本負極はカーボン電極と比較して低コストであり、物理的強度および導電性が高い。本研究ではその新規負極を利用した新しいMFCシステムの開発を行った。負極は池底の土に埋設して使用するが、池の深さが深い程、困難になる。そこで今年度はコンクリートブロックの底面にメッシュ状の炎酸化ステンレス鋼負極を張り付けて沈める方法を検討した。この方法なら深度の高い池でもMFCを設置できる。2個のブロックの片面に3重にした炎酸化ステンレス鋼電極を張り付けて負極を作製した。その負極を農研機構畜産研究部門(つくば)の敷地にある池に沈めて発電実験を行った。1か月の馴養培養を行った後、実際に池で発電できることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
池に設置したMFCをポテンショスタットで出力を解析したところ、センサーを駆動するのに十分な出力である1.1mWが得られたので、研究は順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、長期間の発電性を評価するために発電実験を継続中である。今後、実際に温度湿度センサーやCO2センサーを駆動させて、測定データを長距離(> 10 km)に無線送信するシステムを構築する予定である。
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Causes of Carryover |
理由:基盤研究費の活用ができたため。 使用計画:研究補助員の賃金および研究に必要な消耗品の購入に使用する。
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