2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of color improvement technique of meat products by using bacteria with high ZnPP-forming ability
Project/Area Number |
20K06356
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
若松 純一 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (30344493)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 亜鉛プロトポルフィリンIX / 食肉製品 / 色 / 乳酸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々な食品および環境からのサンプルから、食塩を3%添加してpH 5.5に調整した培地を用いて、嫌気性条件下で培養してスクリーニングを行った。分離した450コロニーから、亜鉛プロトポルフィリンIX(ZnPP)形成能を指標として、69株のZnPP形成細菌を得た。さらに、36株が酸産生菌であり、16S rRNAシーケンシングにより25株が乳酸菌であることが確認された。重複した種を排除した13株を高ZnPP形成乳酸菌として以降の実験に供した。高ZnPP形成乳酸菌が食肉の色調に及ぼす影響を調べるために、塩を含む無菌豚挽き肉に接種してインキュベートし、乳酸菌によるZnPP形成能を評価したところ、全ての乳酸菌がZnPPを形成した。しかし、分離・選抜した5株(略称とする:LC、LC、LL、LP、EF)ではZnPPの自家蛍光が強く、明るい赤色を呈したため、食肉製品の色を改善するための有望な候補として選抜した。次に、5つの高ZnPP形成乳酸菌を用いて、亜硝酸塩を含まないドライソーセージを製造し、ZnPP形成との関係を検討した。乳酸菌接種ソーセージでは、対照群と比較して乳酸菌数と酸度が有意に増加して色調を改善した。LCとLPを接種したソーセージでは内部は赤色を示したが、表層部は茶色を示した。しかし、LLCとLLを接種したソーセージでは内部だけでなく表層部も鮮赤色を示し、LLCを接種したソーセージの色調は、亜硝酸塩添加群の色調に近かった。さらに、表層部の明るい赤色は、LLCによるZnPPの好気的形成のために改善された。本研究でスクリーニングされたLLCは、嫌気的だけでなく好気的にもZnPPを形成することが示され、LLCを使用することにより乾塩漬食肉製品の製品全体の色調を改善できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
食肉内在性の亜鉛プロトポルフィリンIX(ZnPP)形成や、これまで見出した微生物によるZnPP形成は酸素により阻害される。しかし、本研究で見出した乳酸菌1株は、嫌気的条件下だけでなく、好気的条件下でも強くZnPPを形成することが示された。このため、ドライソーセージに応用したところ、内部だけでなく、製品全体の色調が劇的に改善することが示されたことから、特許性があると判断して国内特許を出願できた。このため、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
好気的条件下での亜鉛プロトポルフィリンIX(ZnPP)の形成は、食肉製品全体の色調改善に有効であることから、当初の試験計画の1つである「微生物の高ZnPP産生能のメカニズム解明」において、特に好気的条件下で形成機構の解明に焦点を絞って検討することにする。原因が解明できれば、微生物選択の指標となることから、さらに高ZnPP産生能を有するものや、嗜好性の向上できる微生物のスクリーニングについても行っていく予定である。
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Research Products
(3 results)