2022 Fiscal Year Annual Research Report
ウマ介在療法用として適性の高い小格馬の選定技術の開発
Project/Area Number |
20K06367
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
松浦 晶央 北里大学, 獣医学部, 准教授 (50406899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊 佳男 酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (70370179)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動物介在療法 / セラピーホース |
Outline of Annual Research Achievements |
ウマ介在療法用のセラピーホースは、その特性から性格がおとなしくヒトに従順である必要があり、かつ振幅が小さく幅広い年齢層から受け入れやすい体高の低い小格馬が望ましい。小格馬のなかでも与那国馬は海中ホーストレッキング用に調教されており、亜熱帯特有の暑い環境下から冷たい海中に入って体を冷却できること(報酬)をウマに提示して海に馴らす。これは動物行動学的に理にかなった正の強化によるトレーニング方法であると考えられる。 今年度の研究目的は、海中トレッキングの有無による与那国馬の行動・生理といった特徴を明確にし、セラピーホースの選定技術開発に資することであった。そこで、与那国馬を対象に被毛中コルチゾール分析、血球検査および飼育管理アンケート調査を実施した。アンケート結果から、全24頭のうち調教不十分な個体と高齢引退馬を除く15頭を海中トレッキング(S)群11頭と陸上トレッキング(F)群4頭に分けて各測定項目を比較した。また、昨年度サンプリングした被毛中コルチゾール、見知らぬ人に触られた際の心拍数と呼吸数、曳き馬時の行動、および気質などについても再度解析した。その結果、見知らぬ人に触られた際の呼吸数の変化量は、S群でF群よりも高く(P<0.05) 、予想に反してS群はストレス耐性が低いと考えられた。海中では陸上と異なって跳ねるや蹴るなどウマの危険な行動が抑制されるうえ、落馬によるケガの心配もない。S、F両群とも利用者に安全に提供できている点も踏まえると、扱いにくい個体であっても海中トレッキングには有効に活用ができると考えられた。 当初はセラピー用小格馬の選定技術開発を目的として本研究を開始したが、以上の結果より、海中トレッキングは扱いにくいウマでも有効利用が可能な活用法であることが見出された。すなわち、海中トレッキングは動物にとっても望ましい乗馬療法の一形態となり得ると考えられた。
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