2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of physiological properties of brain and peripheral cadaverine signals in neonatal chick
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20K06368
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
白石 純一 日本獣医生命科学大学, 応用生命科学部, 講師 (50632345)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カダベリン / 筋タンパク質 / インスリン/インスリン様成長因子 / 視床下部 / 器官培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はカダベリンシグナルが①初生ヒナの骨格発達に及ぼす影響と②間脳視床下部の摂食・エネルギー代謝調節機構に及ぼす影響を検討した。 カダベリン刺激後、孵化したヒナの浅胸筋のインスリン受容体およびインスリン様成長因子1受容体の遺伝子発現量は上方制御され、それらの細胞内シグナルであるインスリン受容体基質1および2の遺伝子発現量も同様に高くなった。そして、筋タンパク質分解の指標である血漿3-メチルヒスチジン濃度について、高速液体クロマトグラフタンデム型質量分析計(LC-MSMS)を用いて定量したところ、カダベリン刺激後、孵化したヒナの3-メチルヒスチジン濃度は対象区より低かった。 一方、ニワトリ胚(孵卵18-20日胚)の間脳を採取し、厚さ200μmの脳スライス試料を連続的に作成し、各スライスに発現するポリアミントランスポーター(SLC18B1およびSLC22A16)および摂食・エネルギー代謝調節因子(POMC、AGRP、NPYおよびAMPK)の遺伝子発現量を定量した。その結果、ポリアミントランスポーターおよびAMPKは作成したすべての脳スライスで発現が確認された一方で、POMC、AGRPおよびNPY遺伝子発現量は、局所的な遺伝子発現パターンを示すことを確認した。そして、これらの結果をもとに新たに脳スライス試料を調整して、カダベリンを添加した培養液中で器官培養した。培養後3-24時間後の上記制御因子の遺伝子発現量は、添加濃度および培養時間に伴って発現が変動した。 以上のことから、初生期のカダベリンシグナルは、骨格筋の筋タンパク質分解抑制作用を持つことが示唆され、その制御にはインスリン/インスリン様成長因子のシグナルが深く関与していることが推察された。さらに、視床下部領域において、カダベリンを起点とした摂食行動あるいはエネルギー代謝を調節するメカニズムが存在するものと考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度では、カダベリンシグナルによる骨格筋発達に及ぼす影響について、主要な制御因子との関連性を明らかにすることができた。そして、サロゲート(安定同位体)を用いたLC-MSMSによる精密分析系の確立および間脳視床下部のin vitro評価系を確立することができた。これらのことは、カダベリンシグナルが及ぼす脳と末梢におけるエネルギー代謝調節機構について、より詳細な調査を可能とすることから、次年度も継続的に解析を進めることで、多くの成果を上げることができると判断された為。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、初生期のカダベリンシグナルとエネルギー代謝調節機構について、グルコース代謝の関連性について検討を進める。具体的には胚時期のカダベリン刺激後の解糖系シグナルに及ぼす影響や膵臓における内分泌機能調節あるいは耐糖能との関連性について検討を加える予定である。そして、脳機能に及ぼす影響については、カダベリンシグナルによる脳機能発達と代謝関連因子の応答性について検討を加える予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度に生じた次年度使用額は当初、外部委託費用として計上していたが、年度内執行が難しいと判断できたため、次年度に計上し改めて執行することを判断した。
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Research Products
(9 results)