2022 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質代謝機構制御によるウシ体外受精胚の発生能向上
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20K06378
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
山中 賢一 佐賀大学, 農学部, 准教授 (40572920)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胚発生 / 体外受精 / 小胞体ストレス / 凍結保存 / ウシ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、前年度の遺伝子発現解析の結果をもとに、小胞体ストレス抑制条件を再検討した。具体的には、小胞体ストレス抑制処理を行う期間を限定するすることにより、体外発生率を向上させることができるとともに、凍結可能胚の生産効率も向上させることができた。また、小胞体ストレス抑制条件で生産された胚盤胞期胚をガラス化保存法および緩慢凍結法によって低温保存した結果、いずれの方法においても保存後の生存性が対照区と比較して向上することが明らかとなった。加えて、胚の品質の指標の一つであるアポトーシス発生率に関して凍結保存後の胚で調べた結果、その発生率が対照区と比較して低下することが明らかとなった。さらに、OPU法により生体から採取した卵母細胞を使用した場合も小胞体ストレス抑制によって移植可能胚の生産効率を向上させられることが明らかとなった。 研究期間全体を通じて、小胞体ストレスおよびオートファジー活性の動態を遺伝子発現解析によって明らかにするとともに、それらを適切に制御することによって体外受精胚の発生能を向上させられることが明らかとなった。特に、小胞体ストレス制御においては、体外受精胚の発生能のみならず、その耐凍性も向上されることが明らかとなった。飼養頭数の限られた我が国の生産現場では、移植に適した時期のレシピエント牛を常に準備することが困難であるため、新鮮胚ではなく凍結胚が移植に用いられるのが一般的である。このことからも、高い耐凍性を有した高品質な体外受精胚の生産効率を向上させることを示した本成果は体外受精胚による効率的な子牛生産に寄与することが期待される。
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