2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K06383
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
白木 琢磨 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (10311747)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肉質理化学分析 / NMRメタボローム / 機械学習 / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
畜産物の国際競争力アップのために、肉質の向上が必要である。現在、肉質はと畜後の肉ブロックで解析しているため、本来販売するべき肉ブロックを試験用に確保する必要がある。本研究では、肉質判定のための血清メタボローム解析技術の確立とその簡易化を目指す。飼養管理に加え、肥育中の代謝変動を網羅的に解析する生体血清メタボローム解析を行うことで、畜産ビッグデータを構築する。令和3年度は、和歌山県内の一般農家および畜産試験場でエコフィードとして山椒種子を給餌した試験区、脱塩梅酢エキスを給餌し肥育した豚について、血清NMRメタボローム解析を行った。代謝物は豚でもヒトでも同じであるため、参考にするNMRスペクトルはヒューマンメタボロームデータベース(HMDB)を利用した。しかし、NMRピークの約6割しか代謝物の推定に成功しないという問題点が生じた。 そこで、各代謝物由来のNMRピークは必ずその量に連動して増減することを利用し、複数のNMRメタボロームデータを用い、連動するピークを検出する方法を確立した。これにより、NMRピークについて代謝物濃度の変換せずに全ピークを使って肉質パラメータとの相関、連動を解析することができるようになった。計算能力の高いワークステーションを解析用サーバーとして利用し、Rおよびpythonをブラウザ経由で使うように設定できたため、各種機械学習が試せる環境が整った。令和3年度はautogluonを用いた解析方法を確立し、NMRピークと肉質パラメータの相関を見ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各代謝物のスペクトルを参照することでNMRスペクトルから代謝物濃度の推定を行っていたが、1サンプル20分と膨大な計算時間がかかること、さらに推定にすべてのNMRピークが使われていないことが問題点として明らかとなった。当初予定どおり計算時間短縮のためワークステーションを導入した上で、Rstudio serverおよびjupyter labを導入することで、ラボ内のどこからでもウェブブラウザー経由で計算を実行できる環境を構築した。全NMRピークをデジタル化することで、サンプルの自動分類が可能になり、更には、豚毎の肉質パラメータとの相関を見ることで、と畜後の肉質を予想可能なNMRピークを探すことができるようになった。令和3年度はautogluonという機械学習を利用することで、相関解析をほぼ自動化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今の所、令和2年度、3年度に採取した血清とその肉質パラメータを用いた相関解析のみを行っている。この範囲で見つかる代謝物は同定できたが、一般化が可能かどうかは疑わしい。そこで、他府県の畜産試験場から入手した血液サンプルについても、同様の解析を行う。また、肉質パラメータとしてこれまで調べられてこなかった香気性成分の分析手法も確立できたため、香りとの相関にもチャレンジする。また、消費者アンケートを行うことができた豚肉サンプルについては、消費者嗜好に相関する血清メタボロームの解析にも応用する予定である。これらの結果を踏まえ、生体血清メタボロームにより肉ブロックを入手しなくても肉質評価が可能になり、国産豚肉の肉質向上に貢献できることを実証する。
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Research Products
(3 results)