2022 Fiscal Year Annual Research Report
神経伝達物質を増殖因子とする乳酸菌の宿主ストレス下における有効性とその挙動解明
Project/Area Number |
20K06384
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
遠野 雅徳 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 遺伝資源研究センター, 上級研究員 (50547718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 淳 茨城大学, 農学部, 教授 (00292483)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳酸菌 / 心理社会的ストレス / 機能性飼料 / 機能性食品 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)ストレス性神経伝達物質により増殖促進する有益な乳酸菌を研究の柱として、第2の脳と呼ばれる腸管神経系とプロバイオティック乳酸菌の関係を追究し、ストレス応答による腸内細菌叢の悪化等を予防・改善する新発想の機能性飼料・食品の創成を目指す研究である。 2)選抜した乳酸菌株のうち、特に効果の高かったLOOC82株のゲノム解読を実施した。ANI法による系統解析により、LOOC82株ゲノムはLacticaseibacillus paracasei subsp. paracasei基準株ゲノムとANI値98.41%を示した。以上のことから、LOOC82株はLacticaseibacillus paracasei subsp. paracaseiであることが明らかとなった。約2800個の構造遺伝子が同定され、本増殖促進作用を解明する上での有用なゲノム情報基盤の構築に成功した。 3)標準精製飼料AIN93ベースによるLOOC82株給与後の盲腸内容物の16S rRNAメタゲノム解析を実施した。LOOC82株給与群では、Firmicutes門、Lactobacillales目、Streptococcaceae科、Lactococcus属、Dorea属、Muribaculum属、Lactococcus lactis種、Lactobacillus casei種、Muribaculum intestinale種などのグループで有意な存在量の増加を認めた。Lactobacillus caseiとLOOC82株が属するLacticaseibacillus paracasei(Lactobacillus paracasei)は、系統学的に近縁なカゼイグループとされており、LOOC82株が盲腸内に到達し検出可能なレベルになっていることが推定可能であった。LOOC82株自身やLOOC82株投与によって連鎖的に影響を受ける細菌グループを含む腸内細菌叢の変化によって、LOOC82株による精神・行動発達の促進、目標指向行動改善、無気力改善、内発的動機改善、うつ病/ストレス/精神障害等や記憶能力改善効果が誘導されると考えられた。
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