2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K06387
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
田上 貴寛 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (60355104)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニワトリ / 始原生殖細胞 / 性分化 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
同性または異性のニワトリ胚生殖巣中で始原生殖細胞(PGCs) 由来の生殖細胞が発現する遺伝子を比較することを目的とした。生殖細胞が緑色蛍光を発する遺伝子組換えニワトリ(PGC-GFPニワトリ)同士を交配させて生産された雌雄の受精卵を2.5日間孵卵した後に採血し、密度勾配遠心法によって雌雄ごとに (PGCs)を採取した。雌雄のPGCsは孵卵2.5日の異性の野生型ニワトリ胚を宿主として血流中へ移植し、異性生殖系列キメラ胚を作出した後、孵卵を継続した。生殖巣においてPGCsが増殖期にある9日目に達した異性生殖系列キメラ胚から生殖巣を採取し、緑色蛍光を指標としてセルソーターを用いて生殖細胞を単離し、異性生殖巣中で増殖している生殖細胞を得た。また、PGC-GFPニワトリの生殖巣から生殖細胞を分離し、同性の生殖巣中で増殖している生殖細胞を採取して比較対象とした。採取した生殖細胞からはRNAを抽出してRNAシークエンスを行い、異性および同性の生殖巣内で増殖したPGCs由来の生殖細胞において発現しているRNAを比較した。その結果、孵卵9日目の雄生殖巣中の同性・異性PGCs由来の生殖細胞間で発現に差違のあるRNAは8828個、雌生殖巣中の同性・異性PGCs由来の生殖細胞間で発現に差違のあるRNAは7626個あることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響による在宅勤務等により研究室での実験に遅れが生じた。また、セルソーターの不具合により細胞採取に支障を来したため、実験に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
雌雄の減数分裂期における同性および異性由来の生殖細胞の発現遺伝子の差違を明らかにすることを目的にする。そのため、生殖細胞が緑色蛍光を発する遺伝子組換えニワトリ(PGC-GFPニワトリ)由来のPGCを異性宿主胚へ移植して異性生殖系列キメラ胚を作出し、雌においては孵卵19日目、雄については孵化させて成鶏まで飼養した後、生殖巣から生殖細胞を採取する。採取した生殖細胞についてはRNAを抽出後、RNAシークエンスを行い、同性・異性の生殖巣に存在する生殖細胞の発現遺伝子を網羅的に明らかにすると共にその発現差違を明らかにする。続いて、発現遺伝子の網羅的解析の結果PGCs が増殖・分化することを促進または妨げる候補遺伝子を選定し、その候補遺伝子をターゲットとしたゲノム編集ニワトリを作出し、その表現系を解析することで、生殖細胞の性が配偶子形成にどのように影響するかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染防御対策のため、自宅待機・在宅勤務により実験の開始が遅れたため、予定していたキメラニワトリの作出による遺伝子解析まで進むことができなかった。 次年度は確実にキメラワトリを作出し、成鶏までに成長させた後に採材を行う。
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