2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K06387
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
田上 貴寛 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (60355104)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ニワトリ / 始原生殖細胞 / 性分化 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
EGFPを発現する雌始原生殖細胞(PGCs)をドナーとして雄胚へ移植し、異性生殖系列雄キメラニワトリ(以降、異性雄キメラ)を4羽作出した。また、EGFPを発現する雄PGCsを雄胚へ移植して同性生殖系列キメラニワトリ(以降、同性雄キメラ)を3羽作出した。これら同性および異性雄キメラは性成熟に達した後、野生型雌ニワトリとの交配試験を行った。その結果、同性雄キメラについては3羽全てからドナー雄PGCs由来のEGFPを発現する産子が得られた(EGFP発現産子率: 20%-96.4%)。一方、異性雄キメラの4羽からはドナー雌PGCs由来のEGFPを発現する産子は得られなかった。異性雄キメラの精液中には雌特異的性染色体であるW染色体を持つ細胞が存在することがPCRにより明らかとなっており、雌PGCは精巣に定着するが受精可能な配偶子へとは分化していない可能性が高いことが示された。次に、雌PGCが精巣において受精可能な配偶子へと分化できない要因を明らかにするため、同性および異性雄キメラ7羽の精巣からEGFPを発現する領域の組織を採取し、RNAを抽出した後にトランスクリプトーム解析を行った。その結果、両者の間で発現が大きく異なる7個の遺伝子があることを明らかした。これらの遺伝子の中に雌PGCsが受精可能な精子へ分化することを阻害する要因がある可能性が考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度も、新型コロナウイルスの影響による在宅勤務、動物管理施設への入場制限等により実験に遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度および2021年度のトランスクリプトーム解析によって、ニワトリ雌雄PGCsが異性 生殖巣において受精可能な配偶子形成が困難となる要因の候補遺伝子が絞られつつある。予定は遅れているが、計画書通りに候補遺伝子の機能阻害を目的としたゲノム編集ニワトリの作出に推進する。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルス感染防御対策のため、自宅待機・在宅勤務により実験の開始が遅れた。また、動物管理業務が滞ったため、ニワトリ交配試験が予定通りに進めることができなかった。ニワトリは性成熟まで6ヶ月程度かかるため、一度実験が遅延すると、取り戻すことは困難となる。計画には遅れが生じるているが、実験自体は着実に進行しているため、次年度は2020年度および2021年度の試験結果を踏まえ、ゲノム編集ニワトリの作出に着手し、次年度内にゲノム編集ニワトリの生産に必要なキメラニワトリを作出する。
|