2020 Fiscal Year Research-status Report
Molecular pathological study for mechanism of occurrence of epilepsy in famiial epileptic dogs and epileptic focus in the piriform lobe
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20K06393
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
森田 剛仁 鳥取大学, 農学部, 教授 (70273901)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | てんかん / 神経病理 / 梨状葉 / 神経細胞 / 最初期遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室のこれまでの研究により、梨状葉皮質に幼若神経細胞が存在すること、リチウムピロカルピン(li-Pilo)投与誘発性てんかんラットの梨状葉皮質に神経細胞死が生じることが確認されている。一方、c-fosは最初期遺伝子の1つであり、シナプス伝達の増強に必要な遺伝子を誘導し、神経の興奮性に関与するため、発火頻度の高い神経細胞マーカーとして用いられている。 本研究では発作誘発後に新たに形成される2次性発作焦点としての梨状葉の役割を明らかにすることを目的とし、病理組織学的変化とc-fosの発現動態について検討した。Li-PiloをSDラット(7週齢、雄)に腹腔内投与し、てんかん発作を誘発した。発作誘発後は、急性期(1-4日)、慢性期初期(14-60日)および慢性期後期(90、150日)に脳を採材し、病理組織学的並びに免疫組織化学的検索(c-fos、doublecortin(DCX)、NeuN)を実施した。梨状葉皮質第Ⅱ層では発作誘発後急性期(発作後1日)から神経細胞死が生じ、慢性期後期(発作後90日)には瘢痕組織が形成された。一方、壊死組織の周囲において、慢性期初期(発作後14日)にDCX陽性未成熟細胞の増生が認められた。慢性期後期(発作後150日)には少数のDCX陽性細胞と、無秩序な配列を伴った多数のNeuN陽性の大型神経細胞が瘢痕組織周囲に出現した。c-fosは、慢性期初期には陰性となったが、慢性期後期(発作後150日)になると瘢痕組織周囲に出現した大型神経細胞に一致して陽性像が観察された。加えて、梨状葉皮質において急性期に組織傷害が生じ、それに続発して慢性期初期に神経新生が生じること、慢性期後期に出現する大型神経細胞(新生神経と推測)に過興奮が生じることから、梨状葉皮質の新生神経組織が2次性発作焦点として重要な役割を果たす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リチウム・ピロカルピンを投与による全身性発作の惹起について初めは不安定であったが、ピロカルピンの投与量を工夫したことにより、発作発生頻度がほぼ100%と安定した。そのことにより、確実に脳の材料を得られることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は実験結果の信頼性を高めるために、これまで実施してきた同様の実験を行い症例数を増やし統計学的処理を実施する予定である。加えて、梨状葉の組織壊死の原因についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行により、実験補助者の実験実施時間の短縮を余儀なくされ、実際に行った実験回数が、計画の2分の1となってしまった。それに伴い実験に必要な物品の購入が少なくなり、その結果物品購入費が減じたため。
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