2021 Fiscal Year Research-status Report
Molecular pathological study for mechanism of occurrence of epilepsy in famiial epileptic dogs and epileptic focus in the piriform lobe
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20K06393
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
森田 剛仁 鳥取大学, 農学部, 教授 (70273901)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | てんかん / 神経病理 / 梨状葉 / 神経細胞 / 神経栄養因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
梨状葉皮質は、ヒトのてんかん患者における新たな二次的発作焦点として近年注目されている。当研究室のこれまでの研究により、てんかんモデルラットの梨状葉皮質に幼若神経細胞が存在すること、梨状葉皮質における組織壊死および同部に神経新生が生じることが病理組織学的に証明された。しかし、梨状葉における組織壊死から発作焦点としての新生神経組織が成立する詳細な機序については不明である。本研究では、梨状葉において組織壊死からどのような過程を経て新生神経組織が形成されるのか、またその過程でどのような因子が関与しているのか明らかにすることを目的とした。 【材料および方法】ピロカルピンをSDラット(7週齢、雄)7例に腹腔内投与し、てんかん発作を誘発した。発作症状はRacine’s scale[Racine RJ、1971]に基づいてStage1からStage5に分類した。てんかん発作後、慢性期初期(14日)に脳を採材し、病理組織学的検索並びに免疫組織化学的検索(Iba-1、GFAP、Pax6、DCX、脳由来神経栄養因子(BDNF)、Neurotrophin 3(NT3))を実施した。 【結果および考察】Stage4またはStage5の発作が誘発された6例において梨状葉に組織壊死が認められた。壊死巣にはアストロサイトおよびミクログリアの増数が認められた。また、アストロサイトの増生部位に一致して、BDNFおよびNT3が顆粒状に陽性を示した。さらに、壊死巣とその周囲にはPax6陽性および少数のDCX陽性の幼若神経細胞を認め、いずれも対照群より増数していた。以上のことから、新生神経細胞の形成にはBDNFやNT3が関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リチウム・ピロカルピンを投与による全身性発作の惹起について初めは不安定であったが、2020年度ピロカルピンの投与量を工夫したことにより、発作発生頻度がほぼ 100%と安定した。2021年度は確実に脳の材料を得られることが可能となり、神経成長因子に関する組織学的解析をほぼ順調に実験を実施することができた。2022年度は、前年度に実施することができなかった分子病理学的解析を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
神経栄養因子の産生細胞の特定およびアストロサイトの反応と組織壊死の関連についての検討を進め、さらに症例数を増やし、てんかん焦点形成の再現性について、組織学的および分子病理学的解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
2021年度に実施予定の神経成長因子に関する組織学的検索については順調に実施することができたが、同じく実施予定の分子病理学的検索を行うことができなかった。2022年度は最終年度であるため、本予算を使用し、分子病理学的検索を完遂する予定である。
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