2020 Fiscal Year Research-status Report
The basic research of unique and effective wild intermediate host animal control methods for alveolar hydatidosis
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20K06402
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Research Institution | Hokkaido Institute of Public Health |
Principal Investigator |
八木 欣平 北海道立衛生研究所, その他部局等, 研究職員 (70414323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 成晃 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (50281853)
中尾 亮 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (50633955)
孝口 裕一 北海道立衛生研究所, その他部局等, 主査 (50435567)
大久保 和洋 北海道立衛生研究所, その他部局等, 主査 (10785562)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 寄生虫症 / エキノコックス / 多包条虫 / 中間宿主 / コントロール / 感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦のエキノコックス症は、多包条虫によって引き起こされる難治性の人獣共通寄生虫疾患であり、流行地域の住民にとって健康上の大きな脅威となっている。北海道で地域流行病として患者の発生が見られるが、近年本州での流行が報告されている。本症の感染予防には感染源である虫卵を排出する終宿主動物対策が流行地で試みられているが、効果的な対策が進んでいるとはいえず、本症の流行は本州にまで拡大している。 今回の研究は、コントロール対策の対象を野ネズミなどの中間宿主動物に向け、ワクチン開発および中間宿主動物の動物種や系統による感受性の差等の基礎的な実験的研究を行い、野外の中間宿主動物に対する新たなコントロール方法の作成のための科学的データを集積することにあった。 初年度は、”中間宿主での虫卵感染後の経過時間による寄生虫の動態 “をリアルタイムPCRにより量的解析を行うための評価システムの構築と試用にあった。我々は北海道立衛生研究所で虫卵を用いた継代維持を行っている根室分離株(北海道株)多包条虫から抽出した遺伝子を用い、本虫のlarge ribosomal subunit gene (rrnL) を標的にしたリアルタイムPCRによる量的解析を行うという分子生物学的手法の構築を試みた。さらにマウスを用いて、感染後の経時的な”寄生虫”の”うごき”を把握するための採材手法を検討し、最終的にこれまで困難であった虫卵感染後の超初期段階の動きを補足するシステムを確立した。超感染初期の動態の把握は感受性やワクチンの効果を検証する上で重要な情報となる。このような寄生蠕虫の感染初期段階の動きを知るための分子生物学的手法の適用は、世界的にみても類がない。更にこの手法を用いて感受性マウス(DBA/2)および抵抗性マウス(C57BL/6)に対し精製した虫卵を経口感染させ、その差異について現在解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
人への感染リスクがある多包条虫虫卵を用いた感染実験が主体の研究であるが、北海道立衛生研究所の特殊施設を用いて順調に遂行することができた。中間宿主の感染防御の動態がモニターできるシステムの構築の確立により、ワクチン効果のモニターや、中間宿主動物の動物種差、系統差等の解析のための次の実験への展開を期待できた。施設の利用に容量としての制限があるため(特に新鮮な虫卵を採材するためのビーグル犬への感染等)、いくつかの予定される実験を調整していくことが求められているが、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の結果をもとに、当初の予定通り、感受性、非感受性系統マウスへの感染実験とその解析、我々が発見した皮下接種により虫卵感染防御能をもつEMY162蛋白の経口投与による免疫能の誘導の試みとワクチン効果のメカニズムの検討、非感受性とされているラットを用いた実験等を遂行し、中間宿主へのコントロール対策に資する科学的情報を提供する予定である。感染用の虫卵採取に限界があるため、その他の予定している実験については優先順位を検討しながら遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画に変更する点はなく、初年度に予定していた実験を遂行し、必要に応じて研究費を執行したが、当初の見込額と異なった。新型コロナウイルスの流行のため、予定していた学会、研究会がオンライン開催となり、参加に使用する旅費についての執行はなかった。次年度に前年度の研究費を含め当初の予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(2 results)