2021 Fiscal Year Research-status Report
シュードタイプによるBウイルス抗体検出の新規アプローチ
Project/Area Number |
20K06404
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
福士 秀悦 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 室長 (80373398)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヘルペスBウイルス / 抗体検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘルペスBウイルス(以下、Bウイルス)は、多くのサルに潜伏感染しているウイルスで、ヒトに感染すると重篤な疾患(Bウイルス感染症)を引き起こす。単純ヘルペスウイルス1型、2型(HSV-1,-2)と抗原が類似していることからBウイルス感染症の血清学的診断は困難である。また、感染性Bウイルスは国内で所持されておらず、ウイルスそのものを用いた診断法の研究開発は困難である。本研究はBウイルスの外套タンパク質を被った水疱性口炎ウイルス(VSV)シュードタイプを作製するというアプローチからこれらの課題の解決を目指す。これまで Bウイルスの外套タンパク質(gD, gB, gH, gL)を哺乳細胞発現ベクターにクローニングし、発現を確認してきた。令和3年度は、これらを用いてVSVシュードタイプの作製を試みたが感染性のあるVSVシュードタイプは作出できなかった。最近の報告(Hilterbrand et al, mBio, 2021)によると、ヘルペスウイルスの外套タンパク質を被ったVSVシュードタイプは特殊な細胞(受容体Nectin-1をstableに発現させたマウスメラノーマ細胞)にしか感染せず、感染過程もHSV-1そのものとは大きく異なる。このため、HSV-1に近縁のBウイルスの場合も、感染性の解析にはVSVシュードタイプは適さない可能性がある。本研究では、VSVシュードタイプの系が予定通りに進まなかった場合、外套タンパク質に対するモノクローナル抗体を用いた競合ELISAの開発を研究計画に取り入れている。令和3年度はモノクローナル抗体の作製のため、外套タンパク質の発現、精製を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Bウイルスの外套タンパク質(gD, gB, gH, gL)を用いてVSVシュードタイプの作製を試みたが感染性のあるVSVシュードタイプは作出できなかった。一方、外套タンパク質(gG, gC およびgD)の発現と精製に成功しており、今後、これらをマウスに免疫し、モノクローナル抗体の作製に着手する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Bウイルスの外套タンパク質(gG, gC およびgD)をマウスに免疫し、モノクローナル抗体を得る。Bウイルス特異的なモノクローナル抗体を用いた競合ELISA法を開発する。
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Causes of Carryover |
年度末納品等にかかる支払いが、令和4年4月1日以降となった。また、令和3年度分の未使用分については、令和4年度のモノクローナル抗体作製のための試薬類の調達に充てる。
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