2022 Fiscal Year Annual Research Report
免疫老化を考慮した次世代型インフルエンザワクチン開発の基盤構築
Project/Area Number |
20K06405
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
高濱 正吉 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 ワクチン・アジュバント研究センター, プロジェクト研究員 (60510287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 拓也 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 医薬基盤研究所 免疫老化プロジェクト, プロジェクトリーダー (60752368)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫老化 / Influenza / Fc受容体依存的免疫応答 / 広範囲HA中和抗体 / ハイパラメーターフローサイトメーター / non-human primate / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者にも有効なワクチンの開発は、急速に高齢化の進む本邦における急務の課題である。本研究課題では、インフルエンザウイルスに対する抗体の定常領域 Fcを介したFc受容体(FcRs)依存的免疫応答を介する感染防御に着目し、カニクイザルにおけるFcRs依存的免疫応答の新規解析系の樹立を目的とする。その上で、若齢及び高齢ザルでの検証を行い、免疫老化を考慮した次世代型インフルエンザワクチン開発基盤構築を目指す。 本年度は、コロナ禍でのワクチン開発への高齢個体の供給問題を鑑み、新規ワクチン投与検体の解析に必要な、年齢ごとの免疫状態を把握できる解析基盤を構築した。具体的には、ハイパラメーターフローサイトメーターにより多様な免疫細胞サブセットを網羅的に同定する系を構築した。若齢・高齢サル由来PBMCでの検証により、高齢サルにおいては、PBMC中のCD34陽性細胞、naive T細胞などの割合が有意に低下していること、炎症を誘導するような自然免疫に関わる細胞群が増加していること、各免疫細胞サブセット絶対数の加齢に伴う変化は線形ではなく非線形であり、細胞亜集団毎に加齢の影響を受けるタイミングが異なることが示唆された。 加えて、生化学検査値等を統合したデータセットを用いた機械学習により、年齢だけでは見いだせない個体ごとの免疫老化を把握できる基盤を樹立した。さらに、in vitroでのアジュバント刺激実験により、高齢サル由来PBMCではアジュバント応答が減弱する点を見出した。 以上により、加齢に伴う免疫状態を踏まえたワクチンの安全性・有効性評価が可能となり、免疫老化を考慮した次世代型インフルエンザワクチン開発の基盤が構築できた。
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Research Products
(8 results)