2023 Fiscal Year Research-status Report
Exploratory research on novel diagnostic and therapeutic markers for mesothelioma
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20K06408
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
打出 毅 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20327456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 達哉 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80727652)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 中皮腫 / メソテリン / イヌ |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的と実施計画】中皮腫は人医領域において、アスベスト曝露が発症に関連する環境問題腫瘍として注目を集める一方、発生頻度は少ないものの発症した場合、その早期診断・治療が極めて難しい希少悪性腫瘍として臨床的にも大きな問題となっている。イヌにおいてもアスベスト関連中皮腫が報告されていることや、その臨床挙動がヒトの中皮腫に酷似することから、イヌ中皮腫はヒトのモデル腫瘍として考えられている。本研究では、医学領域で中皮腫の腫瘍マーカーとして注目されているメソテリンに着目して、イヌにおいても新しい診断マーカーや治療方法を開発する上で有用な着目分子となり得るかについて検討する。本研究課題は、1)メソテリンの正常組織における発現分布解析、2)イヌ中皮腫におけるメソテリンの発現解析、3)メソテリンの腫瘍マーカーとしての有用性について検討を行うことが中心的な研究計画となっている。前年度までには、1)および2)について検討を行ったが、当該年度は3)の項目について中心的に検討を行った。 【当該年度までに実施した研究成果の総括】当該年度までの成果を総合すると、①メソテリンは正常中皮細胞にも発現しており、汎中皮細胞マーカーとして利用できる。②免疫染色やwestern blottingによるタンパク発現量の半定量解析では中皮腫と反応性中皮および正常中皮の鑑別は難しいが、real-timePCRによるmRNAの定量解析では、腫瘍におけるmRNA発現が著しく増加していることが明らかになり、カットオフ値を設定することで、腫瘍の鑑別が可能となる可能性が示された。また、計画の中心ではないが、中皮腫の治療法に関する研究も並行して行い論文を投稿・受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由 【総評】令和2年度には、東京におけるコロナ感染拡大によって学生の大学入構が制限させる中、研究計画が大幅に遅れたが、令和3年度から本年度において研究計画の遅れを若干取り戻すことかできた。遅れた研究計画の1部分を実施するために、1年間の研究期間延長申請を行った。中皮腫の治療に関する臨床研究は、投稿論文としてまとめ受理された。 【研究項目別】1)メソテリンの発現解析について症例より採取した腫瘍細胞および過去に中皮腫と診断された病理組織切片で行った。タンパクレベルの解析には抗体が必要となるが、犬のメソテリンタンパクとクロスするヒト抗体を探すことに苦労した。現在は犬メソテリンの発現ベクターを作成し、イヌタンパクを精製したのち、ヒト抗体の有用性を証明しているところである。2)メソテリンには細胞接着タンパクと可溶性タンパクの2種があるが、臨床的には可溶性タンパクの定量ができると応用性が上がる。現在、可溶性タンパクの解析法を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度以降は以下の項目について検討を継続するが、それぞれの項目についての問題点と研究推進方策は 【イヌ中皮腫細胞における発現解析系の樹立】症例の確保と継続培養の難しさが課題であるり、症例を確保するために近隣の開業獣医師にも協力依頼しているが、未だ十分ではない。引き続き地域を広げ依頼を続ける。 【抗ヒトメソテリン抗体のイヌ中皮腫細胞における発現解析】犬の中皮腫に反応性のある抗体の選定が終わったため、この抗体について犬メソテリン蛋白に対する特異性を分子生物学的手法により証明する。犬のメソテリン組み替えタンパクを作成し、抗ヒトメソテリン抗体との反応性を確認しているところである。培養細胞と組織(中皮腫、反応性中皮、正常中皮)を用いて発現解析を並行して行っているところである。 【メソテリンmRNAのqRT-PCR系の樹立】メソテリンmRNAにはバリアントが多く、PCRのプライマー設定に苦慮したが、適切なプライマー設定が完了した。現在は発現解析を進めているところである。
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Causes of Carryover |
令和2年度は、東京におけるコロナ感染拡大によって学生の大学入構が制限させる中、研究計画が大幅に遅れた。コロナ問題が沈静化するにつれて、研究計画の進捗状況は正常化したが、現在においても完全には遅れを取り戻すことはできず、1年間の研究計画の延長を申請した。したがって、R6年度に残りの研究費を使って遅れた研究計画を実行する予定である。
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[Journal Article] Establishment of an experimental model of canine malignant mesothelioma organoid culture using a three-dimensional culture method2023
Author(s)
Yomogi Sato , Mohamed Elbadawy , Kazuhiko Suzuki , Ryouichi Tsunedomi , Hiroaki Nagano , Yusuke Ishihara , Haru Yamamoto , Daigo Azakami , Tsuyoshi Uchide , Rina Nabeta , Ryuji Fukushima , Amira Abugomaa , Masahiro Kaneda , Hideyuki Yamawaki , Yuta Shinohara , Tatsuya Usui , Kazuaki Sasaki
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Journal Title
Biomed Pharmacother
Volume: 162
Pages: 114651
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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