2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of novel mechanism for hepatoprotection by iron overload
Project/Area Number |
20K06415
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
井澤 武史 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20580369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹中 重雄 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 教授 (10280067)
桑村 充 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20244668)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肝鉄過剰 / 慢性肝疾患 / 薬物性肝障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝鉄過剰による肝障害の修飾機構を明らかにするために,鉄過剰食投与によって実験的に鉄過剰を誘発したラットに対して,小葉辺縁部(Zone 1)を傷害するアリルアルコール,または肝小葉中心部(Zone 3)を傷害する四塩化炭素を単回投与して,惹起される肝病変を正常食投与ラットと比較した。正常食投与ラットと比較して,鉄過剰食投与ラットではアリルアルコール誘発Zone 1肝障害が著しく増悪し,病変部のCD3陽性T細胞およびCD68陽性マクロファージの増数,サイトカイン(TNFα, IL6, CCL2, IL4)の肝発現上昇を伴っていた。また,肝病変部ではマロンジアルデヒド(脂質過酸化マーカー)の増加やγH2A.X(DNA傷害マーカー)陽性肝細胞の増加が認められたことから,鉄過剰によるアリルアルコール誘発肝障害の増悪には酸化ストレス性肝細胞傷害の亢進が関わることが示された。四塩化炭素投与モデルでは,正常食投与ラットと比べて,鉄過剰食投与ラットにおいてZone 3肝障害が軽減され,病変部のCD68陽性マクロファージの減数とサイトカイン(TNFα,CXCL1,IL10)の肝発現低下を伴っていた。また,肝病変部ではアポトーシスの指標であるCaspase-3開裂の抑制が認められ,鉄過剰による四塩化炭素誘発肝障害の抑制には,アポトーシスの抑制が関わっている可能性が示された。以上より,アリルアルコールと四塩化炭素で誘発される肝障害に対する鉄過剰の病態修飾は,それぞれ異なるメカニズムによって起こることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の通り,鉄過剰による肝障害の修飾には,肝小葉の部位特異的なメカニズムが少なからず存在することが実験的に示され,当初の研究目標の1つを達成できたと考えている。研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果で得られた鉄過剰による肝障害の修飾メカニズムをさらに詳しく追究するために,肝小葉の部位特異的な細胞死経路の変化,あるいは部位特異的な酸化ストレス応答の変化に注目して,研究を進める。また,アリルアルコールや四塩化炭素モデルに加えて,他の肝障害モデルも作製し,鉄過剰による肝障害の修飾機構を多角的に解析する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度,一部の動物実験が年度内に実施できず,次年度に持ち越されたために,次年度使用学が発生した。
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