2020 Fiscal Year Research-status Report
腎糸球体ろ過スリット膜を形成するポドサイトの細胞間シグナル伝達機構の解明
Project/Area Number |
20K06420
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
西木 禎一 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (70423340)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 開口放出 / グルタミン酸 / シナプス関連タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎糸球体のろ過スリットを形成するポドサイトの細胞間におけるグルタミン酸シグナル伝達機構のメカニズムを明らかにするために、ドック2Bに着目して研究に着手した。ドック2Bは神経系に局在する可溶性タンパク質であるが、有用な特異抗体は報告されていない。以前の研究で作製したウサギ抗ドック2B抗血清を精製するために、プロテインAカラムクロマトグラフィーを実施した。得られたIgG画分からドック2Bを特異的に認識するIgGを精製するために、抗体作製に免疫源として用いた合成ペプチドをクロマトグラフィー用ビーズに共有結合させた。同ビーズを用いて再びカラムクロマトグラフィーを行い、IgG画分からドック2Bに対するIgGを精製した。ラットの諸臓器のホモジネートをSDS電気泳動で分離後、精製したIgGを用いてイムノブロッティングを行った。同IgGは脳ホモジネート中の分子量約45,000の単一なバンドと反応し、神経系に発現しているドック2Bを特異的に認識することが確認できた。心臓ならびに腎臓のホモジネートにおいても同じ泳動位置に、特異的なバンドが検出された。このように、精製したドック2Bに対するIgGを用いてイムノブロッティングを行ったところ、予備実験の結果と同様の結果が得られ、ドック2Bが脳だけでなく腎臓にも発現していることが確認された。この抗体を用いて、腎臓におけるドック2Bの腎臓の局在について今後調べる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響により,管理運営業務、学生支援、教育活動に関する負担が著しく増大し,想定外の時間と労力を費やすことになった結果,研究活動に割くことのできるエフォートが十分に確保できなかった。また、複数回におよび在宅勤務を余儀なくされ、その期間、文献検索および閲覧による情報収集などに活動内容を切り替えざるを得なかった。このような理由で、研究活動に遅滞が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症の今後の見通しが不透明だが、感染拡大状況と大学の方針に応じ、感染拡大防止を前提に研究活動を本格的に再開できるよう努める。
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Causes of Carryover |
研究を開始する上で必要に応じ研究費を執行したが、当初予定していた計画の遂行が遅滞したため、当該年度の研究費に未使用額が生じた。次年度の研究費も含め、遅れを少しでも回復できるよう研究計画を進めていく。
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