2022 Fiscal Year Annual Research Report
次世代シークエンシングを用いた犬種特異的な炎症性腸疾患の原因遺伝子の探索
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20K06423
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
大田 寛 酪農学園大学, 獣医学群, 准教授 (50431333)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 炎症性結直腸ポリープ / ミニチュア・ダックスフンド / 全エクソームシーケンス / SNP / 炎症性腸疾患 / PLG |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ミニチュア・ダックスフンド(MD)という特定の犬種に好発する炎症性腸疾患(IBD)である炎症性結直腸ポリープ(ICRP)を対象とし、網羅的な遺伝子解析手法の一つである全エクソームシーケンス解析を用いて原因遺伝子の特定を試みた。遺伝子解析の結果、令和3年度までにMDに特異的なミスセンス変異を伴う一塩基多型(SNP)が5つの遺伝子(PLG, TCOF1, TG, COL9A2, COL4A4)で抽出された。令和4年度は、5つの遺伝子の中から炎症に関わるタンパク質であるプラスミノーゲンをコードするPLG遺伝子に着目した。MDに特異的なPLG遺伝子のSNPによる影響を解析したところ、プラスミノーゲンのアミノ酸配列の変化により、腸炎病変局所においてプラスミノーゲンの分解が促進されることが明らかになった。また、腸炎病変局所におけるプラスミノーゲンの分解は、炎症性サイトカインであるIL-6を介したマトリクスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)の活性化によって生じていることが明らかになった。また、MDのICRPで認められたMMP-9の活性化によるプラスミノーゲンの分解は、人のIBDであるクローン病患者ならびに潰瘍性大腸炎患者の腸炎病変局所でも認められる現象であることが明らかになった。また、令和4年度においては、PLG遺伝子の解析に加え、他の4つの遺伝子の一部についても、PLGと同様にICRPを発症したMDにおいてSNP頻度が有意に高く、ICRPの腸炎病変局所における遺伝子発現が増加することで腸炎の発症に関わることが示唆された。
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Research Products
(1 results)