2022 Fiscal Year Research-status Report
Stem cell targetting radiosensitization by mitochondria-targeted strategy with metoformin in dogs
Project/Area Number |
20K06424
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
細谷 謙次 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (50566156)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 放射線治療 / がん幹細胞 / グルタチオン |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度において、本研究ではがん幹細胞様細胞(Cancer stem-like cells: CSCs)の放射線抵抗性の機序の一つとして、グルタチオンの関与に関する詳細な検討を実施した。CSCsが通常の腫瘍細胞よりも放射線抵抗性が高いことは知られているものの、その機序は不明であった。本研究では、CSCsのプロテオゾーム活性の低さを利用してCSCsを可視化した遺伝子組み換え犬由来腫瘍細胞株2種(HMPOS-ZsG:犬骨肉腫細胞由来およびMegTCC-ZsG:犬尿路上皮癌細胞株由来)を用いて、放射線抵抗性に関与する因子の探索を行った。子の腫瘍細胞株では、プロテオゾーム活性の低い細胞(=CSCs)では細胞内に蛍光色素(ZsG)が蓄積して緑色に発色するため、CSCsを可視化し、フローサイトメーターによりCSCsを単離することが可能であった。 その結果、蛍光分子にて可視化されたCSCs(ZsG+細胞)は、通常の腫瘍細胞(ZsG-細胞)と比較して、細胞内グルタチオン(GSH)含有量が高く、X線照射後の活性酸素(ROS)の蓄積が少ないことが示され、GSHがCSCsの放射線抵抗性に関与している可能性が示唆された。さらに、GSH合成に必要なantiporter(xCT)をスルファサラジンを用いて阻害したところ、ZsG+細胞における放射線増感効果が観察された。研究結果はFrontiers in Oncologyに投稿済みである。(Manuscript ID: 999829、Glutathione Associated Redox Regulation Alleviates Radio-resistance of Canine Cancer Stem-like Cells with Low Proteasome Activity) また、腫瘍細胞の放射線抵抗性に関連する他の因子の探索も並行して実施し、その結果免疫チェックポイント分子であるPD-L1分子の関与を示唆する知見を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響により、当該研究を実施に当たっていた研究員(留学生)が帰国することとなったため、研究の進行が遅滞している。現在後継の研究員を模索中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度においては、腫瘍の放射線感受性における免疫応答反応の関連についての研究を進める予定である。腫瘍細胞においてPD-L1発現量が放射線照射前後で変化するpreliminaryな結果が得られており、腫瘍細胞の放射線抵抗性発現機序の一つとして、PD-L1分子の発現量増加を介した免疫回避機構が関与している可能性が示唆されている。
|
Causes of Carryover |
該研究に従事していた留学生の研究員がCOVID-19の影響により帰国することが決定し、一時的に研究が休止しているため。現在後継の研究員の目途が立ち、近中に研究を再開予定である。現在、腫瘍細胞のおける放射線抵抗性に関連する分子学的経路としてJAK-STAT経路が関与していることを突き止めており、2023年には同経路を阻害する分子標的薬であるオクラシチニブを用いた放射線増感効果に関する研究を進める予定である。具体的には、腫瘍細胞を移植したマウスモデルを作成し、オクラシチニブ投与群と非投与群における放射線照射に対する腫瘍の縮小反応の差異の観察および照射前後の腫瘍組織サンプル中 のSTAT3タンパクのリン酸化レベルの定量や、その下流のシグナル伝達経路の変化をWestern blotにより確認する予定である。2022年度に研究が遅滞して未使用となってい研究予算についても、2023年度の上記実験の実施のため、主にマウス購入費・飼育費・Western blot用の抗体等の高額試薬の購入費に充てる予定である。
|