2021 Fiscal Year Research-status Report
Verification of respiratory inflammation inhibitory effect by soluble form of sialic acid-binding immunoglobulin-like lectin
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20K06431
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
富岡 幸子 鳥取大学, 農学部, 准教授 (50374674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 悦郎 九州大学, 医学研究院, 教授 (00160903)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 疾患モデル動物 / 呼吸器炎症 / シグレック / 喘息 / COPD |
Outline of Annual Research Achievements |
可溶型Siglec-9(sSiglec-9)発現トランスジェニックマウスおよびその同腹野生型マウスに、卵白アルブミンとアジュバントを腹腔内投与して感作させた後、卵白アルブミンを経鼻暴露して喘息病態を惹起し病理組織学的解析をおこなったところ、喘息病態を誘導したトランスジェニックマウスでは同腹野生型マウスに対して炎症性細胞の浸潤が軽度であり、炎症スコアにおいて有意な差が認められることが前年度までに明らかになっていた。また、トランスジェニックマウスに おいて可溶型Siglec-9が慢性閉塞性肺疾患(COPD)における炎症を抑制するかを明らかにするため、可溶型Siglec-9 トランスジェニックマウスおよび同腹野生型マウスにタンパク質分解酵 素エラスターゼとLPSを気管内投与して重度COPD病態を惹起して、その病変を比較解析したところ、COPD病態を誘導したトランスジェニックマウスでは、同腹野生型マウスに対して炎症性細胞浸潤や出血が軽度であり、炎症スコアにおいて有意な差が認められた。本年度はこれらの病態解析、遺伝子発現解析を進め、トランスジェニックマウスにおける可溶型Siglec-9の発現量が多いほど炎症病態が抑制されること、また、可溶型Siglec-9は喘息モデルにおいては特にMUC5ACと、COPDモデルにおいては特にMUC5Bと共局在することが示唆された。以上より、可溶型Siglec-9は喘息モデルやCOPDモデルにおいて、sSiglec-9タンパク質はMUC5ACあるいはMUC5Bに作用をすることで炎症を抑制することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
喘息病態およびCOPD病態におけるsSiglec-9による呼吸器炎症抑制メカニズムの解析についてはおおむね順調に進展している。一方、細菌性肺炎病態における炎症抑制効果の検証については研究棟の改修工事等の影響もあり、やや遅延している。以上より、総合的に「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
sSiglec-9トランスジェニックマウスにおける喘息病態およびCOPD病態の詳細な免疫学的解析ないし遺伝子発現解析をさらに進めると共に、これら成果をまとめて発表する。また、sSiglec-9による細菌性肺炎病態における炎症抑制効果の検証実験を進め、sSiglec-9による呼吸器感染による炎症の抑制メカニズムを明らかにし、喘息・COPD・感染といった多様な呼吸器炎症病態にsSiglec-9が抑制効果を示すデータをまとめて成果を発信し、臨床応用への基盤を作る。
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