2021 Fiscal Year Research-status Report
犬口腔内扁平上皮癌の浸潤・転移に関わるエピジェネティクス機構
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20K06435
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
野口 俊助 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (10701295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 崇 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (40402218)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | microRNA-203 / microRNA-145 / 上皮間葉転換 / Slug / fscn1 |
Outline of Annual Research Achievements |
イヌ口腔扁平上皮癌におけるmiRNA発現解析に基づき、miR-145がfscn1を標的とし扁平上皮癌細胞の上皮間葉転換を制御することが明らかとなった。FSCN1は扁平上皮癌組織において、正常な扁平上皮と比較して顕著に発現亢進しており、さらに癌組織の辺縁において特に強い発現が認められることが免疫組織化学により明らかとなった。これらのことから、miR-145/fscn1経路はイヌ口腔扁平上皮癌の浸潤に重要な役割を果たしていることが示唆された。miR-145はイヌ口腔扁平上皮癌において正常粘膜と比較して低発現であるが、発現低下メカニズムにはmiR-145プロモーター領域のDNAメチル化が関与していることも明らかにした。これらの成果は、Oral Disease誌に掲載された。 また、miR-203が間葉系マーカー転写因子の一つであるSlugを標的とし、miR-145と同様に上皮間葉転換を制御することが明らかとなった。miR-203のこの機能は、歯肉由来扁平上皮癌細胞と比較して扁桃由来扁平上皮癌細胞において顕著にみられたため、miR-203は扁桃扁平上皮癌の高転移性に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イヌ口腔扁平上皮癌の浸潤メカニズムの一端を解明することに成功したものの、扁桃扁平上皮癌の高転移性の原因となるメカニズムについては未だ十分に解明できていないことから、上記区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、プラスミドベクターを用いたmiR-203高発現細胞株を作製中であり、並行してマウスを用いた転移モデルを作製するために、扁平上皮癌細胞をマウスの舌あるいは咬筋に接種する実験を行っている。miR-203高発現細胞株と転移モデルが作製され次第、miR-203が扁平上皮癌の転移に関与するかどうかをマウス転移モデルを用いて検証する予定である。
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Causes of Carryover |
マウスを用いた転移モデルの作製が若干予定よりも遅れているため、それに係る費用が次年度に回される結果となった。
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