2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating molecular pathogenesis of canine prostate cancer focused on micro RNA
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20K06439
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
小林 正典 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (80600428)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 犬 / 前立腺癌 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
犬の前立腺に発生する前立腺腫瘍は一般的に悪性であり、早期に局所浸潤・遠隔転移を引き起こすが、既存の治療に対して有効性は乏しい。Micro RNA (miRNA) は低分子の1本鎖non-coding RNAであり、タンパク質合成を抑制することで、腫瘍細胞の分化・増殖、生存、細胞周期、遊走、浸潤、転移、血管新生などの病態形成機構に関わる遺伝子の発現調節に関与していることが様々な癌腫で示唆されている。我々は以前、19種類のmiRNAが犬前立腺癌組織において発現変化していることを見出したが、それらが前立腺癌の発症や進展にどのように関わるのか不明であった。そのため2020年度は、我々が樹立に成功した犬前立腺癌細胞株を用い、発現増加が見られたmiRNAを対象として、miRNA inhibitorをトランスフェクトし低発現化させた後、細胞増殖能について評価を行った。 はじめに、最適なトランスフェクション条件について検討を行った。当初、犬細胞へのmiRNA inhibitorの導入に関する既報告を参考にして、犬前立腺癌細胞株への導入を試みたが、効率的に導入することが出来なかった。そのため、トランスフェクション条件 (細胞密度、トランスフェクション試薬、添加inhibitorの種類および濃度など) を変更し、トランスフェクション効率が40%以上となる条件を見出した。その条件に基づき、犬前立腺癌細胞にmiR-221 inhibitorを添加し、5%CO2の湿潤環境下で、72時間培養を行った。結果として、miR-221の発現量はnegative controlと比較して、inhibitor添加によって27%に減少したが、inhibitor添加軍において癌細胞の増殖抑制は得られなかった。以上の結果から、miR-221は犬において、細胞増殖機構に関与しない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
我々が以前に樹立に成功し、本実験に用いた犬前立腺癌細胞株は、当初の想定よりもmicroRNA inhibitorのトランスフェクション効率が悪く、最適なトランスフェクション条件の設定に時間を要し、やや研究進歩状況が遅れている。その点を考慮し、トランスフェクションが容易な細胞株の作出に向けて、新たな犬前立腺癌細胞の継代培養を現在、並行して実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、miR-221以外のmiRNAを対象として、犬前立腺癌細胞にmiRNA mimicやmiRNA inhibitorをトランスフェクトすることで人工的に高発現または低発現させた後、細胞増殖能、アポトーシスおよび細胞遊走能を評価し、犬前立腺癌の病態形成機構に関わるmiRNAを同定する。また、miR-221の細胞増殖能以外の機能評価についても検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
購入試薬が当初予定よりも安価に購入できたため、若干の残額が生じた。
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