2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating molecular pathogenesis of canine prostate cancer focused on micro RNA
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20K06439
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
小林 正典 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (80600428)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 犬 / 前立腺癌 / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
Micro RNA (miRNA) はヒトの癌腫において、腫瘍の発生や進展に関わることが知られている。以前、我々は19種類のmiRNAが犬の前立腺癌組織において発現変化を示すことを報告した (Kobayashi et al. J Vet Med Sci 79, 719-725, 2017) が、それらの役割については不明であった。 2021年度は2020年度に引き続き、以前に我々が樹立に成功した犬前立腺癌細胞株 (CHP-1およびCHP-2) を用い、前立腺癌組織中において有意に発現の増加が見られた4種のmiRNA (miR-18a、95、221および330) を対象として、miRNA阻害剤を化学的手法によるトランスフェクションを行い、細胞増殖能に変化を及ぼすか検討を行った。昨年度は主としてCHP-2細胞を用いて検討したが、今年度はCHP-1細胞を対象に加えた。 結果として、negative controlと比較して、miR-221阻害剤のトランスフェクション後72時間において、CHP-1およびCHP-2細胞ともに10%程度の細胞増殖抑制効果が観察された。同様に、miR-18a阻害剤では13%程度、miR-330阻害剤では18%程度、miR-95阻害剤では20%程度の細胞増殖抑制効果が観察された。また、リアルタイムタイムPCRにより阻害効果を確認したところ、これらのmiRNAの発現量は、negative controlと比較して2-33%減少していた。 CHP-1とCHP-2細胞の間で、細胞増殖抑制効果に差異が認められた。この効果の差はもとのmiRNAの発現量や発現変化に依存している可能性がある。これらの増殖抑制効果が犬前立腺癌細胞において共通して認められるものなのかを明らかにするには、より多くの細胞株による検討が必要と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度より研究に用いている犬前立腺癌細胞株のCHP-2細胞は、当初の想定よりもmiRNA阻害剤のトランスフェクション効率が悪く、最適な条件設定を見出すまでに時間を要したため、全体的にやや進捗が遅れているが、本年度からは、よりトランスフェクション効率の良いCHP-1細胞も合わせて解析を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、新たに用いたCHP-1細胞においてはトランスフェクション効率は比較的良好であるが、CHP-2細胞よりも総じて、阻害剤による細胞増殖抑制効果がやや弱い。この効果が犬前立腺癌で見られる共通の事象かどうか明らかにするためには、さらなる細胞株の作出が必要と考えられたため、新たに2つの犬前立腺癌細胞株の樹立に成功した。 今後は、これらの細胞株を加えて、miRNA阻害剤のトランスフェクション後の細胞増殖能、アポトーシス、細胞遊走能を評価し、犬前立腺癌の病態形成機構に関わるmiRNAを同定していく予定である。
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Causes of Carryover |
前年度購入した研究用試薬を一部利用したため、若干の差額が生じた。
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