2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K06444
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
岩澤 淳 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (90242742)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニワトリ / 卵黄嚢 / 糖新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
鳥類の胚は,卵黄と卵白だけを栄養源として育つ。顕著な高血糖動物である鳥類は,すでに胚期から血糖値が高いが,産卵された卵内の糖質は卵重の約1%と少ないので,高い血糖値の維持には糖新生が不可欠と考えられる。本研究では,鶏胚の卵黄嚢における糖代謝を調べる。卵黄嚢は代表的な代謝臓器である肝臓よりも孵卵期間を通じてはるかに大きい。孵化に備えたエネルギー源として糖を貯蓄する一方で糖を血中に放出して血糖値を高めるというやりくりに際して卵黄嚢が果たす生化学的な役割を解明することを目的とした。 本研究を通じて,以下の点が明らかになった。 (1)卵黄嚢には糖新生の鍵酵素がすべて存在し,この臓器のみで糖新生を行うことができる。(2)糖代謝の鍵酵素のひとつであるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)には細胞質型とミトコンドリア型があり,動物種や臓器によって異なることが知られているが,ニワトリ卵黄嚢にはどちらも存在する。(3)卵黄嚢における糖新生の原材料は卵黄に由来すると考えられるが,胚発生の時期によって主な原材料は異なっている。(4)動物は中性脂肪の分解産物のうち脂肪酸から糖新生を行うことはできないが,グリセロールからは行うことができる。ニワトリの卵黄嚢に豊富に存在する中性脂肪由来のグリセロールは孵卵中期の糖新生の原材料となっている。(5)卵黄嚢は糖新生によって生じたグルコースを血中に放出して胚の血糖値を高めるだけでなくグリコーゲンとして卵黄嚢膜細胞内に蓄え,孵化に際して血中へ大量に放出する。 一方,以下の点が課題として残り,引き続き科研費等の資金を得て取り組む予定である。 (1)様々な糖新生酵素の遺伝子発現や酵素活性を孵卵期間(胚発生の時期)に応じて制御する因子や制御の方法(2)ニワトリ胚の肝臓との孵卵期間中の役割分担の詳細
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Research Products
(3 results)