2021 Fiscal Year Research-status Report
熱産生細胞の分化制御と体温調節におけるCREG1の役割の解明
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20K06450
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
山下 均 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (20342967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 亜由美 中部大学, 生命健康科学部, 助手 (20780969)
竹内 環 中部大学, 生命健康科学部, 助教 (90392018)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CREG1 / 骨格筋 / 褐色脂肪 / UCP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋と褐色脂肪は共通の幹細胞系譜から分化派生する熱産生組織として体温や代謝調節において重要な役割を果たす。我々の先行研究において、CREG1は褐色脂肪細胞の分化においてT3の作用を代償することがin vitroの検討から示唆されていた。そこで今年度は、甲状腺機能低下状態におけるCREG1の代償作用をマウス実験により検討した。メチマゾールの飲水投与により甲状腺機能を低下させたWTとCREG1-TgマウスについてVitalViewシステムを用いて体温と行動量を測定した結果、30℃の中立温度環境下ではWTとTg群に差は認められなかったが、23℃の環境下においてはTg群で体温及び行動量共に有意に上昇していることが明らかとなった。また組織解析の結果、褐色脂肪組織におけるUCP1レベルは両群間で差がみられなかったが、皮下白色脂肪組織ではTg群で高い傾向がみられた。これらの結果は、恒温性維持のために熱産生が必要な23℃下においてCREG1がT3の作用を一部代償する可能性を示唆するものと思われる。Tg群では行動量も上昇していることからCREG1の骨格筋に対する作用も予想され、骨格筋の解析も行う必要がある。さらに、UCP1熱産生欠損状態におけるCREG1の代償作用の検討としてUCP1-KO/ CREG1-Tgマウスを作出し30℃環境下において体温と行動量を測定した。その結果、Tg群、KO群と比較して行動量に差はみられなかったが、体温はTg群とKO/Tg群で差はみられずKO群で有意に高いことが判明した。次にこれらのマウスに高脂肪食を与えCREG1の抗肥満作用におけるUCP1の役割を検討した。興味深いことに、摂食量は3群で差はみられなかったが、Tg群と比較してKO/Tg群ではKO群と同様に有意な体重増加がみられたことから、CREG1の抗肥満作用にはUCP1が不可欠であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に続きコロナ禍での研究であったが、いくつかの動物実験を進めることができ、最終的に研究成果を一部まとめ国際誌に発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
骨格筋分化と代謝機能に対するCREG1の役割を明らかにすべく、動物モデルなどを利用して研究を推進する。また、CREG1の作用メカニズムについては、不明な点も多いので細胞培養系などを用いて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍における大学への入校制限もあり、採取した組織サンプルの解析が滞る状況において消耗品購入のための未使用予算が生じた。この予算については2022年度の消耗品購入に使用する予定である。
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