2021 Fiscal Year Research-status Report
ブタ形質細胞様樹状細胞のin vitro培養系構築
Project/Area Number |
20K06452
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
鈴木 俊一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (90391581)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 形質細胞様樹状細胞 / 不死化 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ウイルス感染防御の最前線に位置し、自然免疫と獲得免疫の橋渡しを担うとされる、ブタ形質細胞様樹状細胞(Plasmacytoid Dendritic Cells: pDC)に着目し、その機能を多角的に評価することのできるin vitro培養系の確立を目的とする。前年度から引き続き、ブタ骨髄より分離・培養した血球系細胞にレンチウイルスベクターを用いて、テトラサイクリン誘導型の不死化遺伝子セット(EF1α-TetOnAdv、TREtight-SV40LT、TREtight-pigTERT)を導入し、テトラサイクリン存在下で培養を継続することにより、不死化細胞の樹立を試みた。しかしながらこの方法では、安定して増殖するpDCを得るに至らなかったため、末梢血より濃縮したpDCに同様の遺伝子セットを導入して不死化誘導を試みたところ、安定して増殖する細胞を得ることができた。この細胞の詳細な形質評価を進めている。 一方、昨年度作出したcDC様細胞株については、FACSやリアルタイムPCRによって形質の評価を進めた。その結果、樹状細胞で発現するMHCclassIIやFcεR1αの発現が低レベルである一方、マクロファージマーカーであるCD64の発現が高いことが明らかとなり、マクロファージ様細胞であることが判明した。この細胞はTLR3、4、7、8、9を発現し、各種TLRリガンド(polyI:C、LPS、guadiquimod)によってTNFα等の炎症性サイトカインが誘導されることも示され、活性評価等に利活用が可能な新規の骨髄由来ブタマクロファージ細胞株を得られたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
末梢血より濃縮したpDCが安定して増殖する状態を得るまでに想定以上の時間を要した。ただし、種々の解析条件等は樹立したマクロファージ様細胞で確立できており、ゲノム編集の条件検討も完了したことから、本年度はスムーズな進捗が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
末梢血より濃縮したpDCに不死化遺伝子セットを導入することにより、安定的に増殖する細胞が得られており、速やかにこの細胞の形質評価を行う。具体的には、FACSやリアルタイムPCRによる細胞表面マーカーや各種遺伝子発現の解析とTLRリガンド等の添加によるサイトカイン発現応答能の有無を検討する。さらに前年度に条件検討を行ったガイドRNAを用いてMYD88やTRIFの遺伝子破壊/機能阻害実験を行い、この細胞にゲノム編集が適用可能であることを示す。以上により、様々なin vitro解析を実施可能とする、ブタpDC細胞株の確立を今年度の目標とする。
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Causes of Carryover |
年度末に購入した物品等が想定より安価に入手できたため、残額が発生した。次年度の消耗品等の購入に充当する。
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