2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒトMHC拘束性機能的ヒトT細胞の解析を可能にする免疫ヒト化マウスの作出
Project/Area Number |
20K06469
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米谷 耕平 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点助教 (50437258)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | TEC |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトiPS細胞に胸腺上皮細胞(Thymic epithelial cell: TEC)分化に必要と考えられる転写因子を、ドキシサイクリン依存的に任意のタイミングで発現させることのできるpiggyBacベクター(Woltjen et al., Nature (2009), Kim et al., Methods Mol. Biol. (2016))を用いて導入した。ベクターが導入されたiPS細胞はピューロマイシンを用い薬剤選択を行なった。piggyBacベクターを用いた遺伝子導入では、導入されたベクターのコピー数はクローンごとで差があることが考えられる。またコピー数の違いは目的遺伝子の発現量の違いに繋がる可能性があるので、複数のクローンを樹立し、いくつかの異なるクローンで以下の分化誘導を進めることとした。 樹立したiPS細胞をマトリゲルコートしたプレート上で、アクチビンAとGSK3betaの阻害剤を用い、TECのオリジナルの胚葉である内胚葉に分化させた。内胚葉への分化は内胚葉の特徴的な遺伝子発現であるSOX17, FOXA2の発現を定量的PCRにて、またCXCR4の発現をフローサイトメトリー にて確認した。株の違いや条件により内胚葉の誘導率に差が生じるため、現在、より効率的かつ安定的な内胚葉誘導法を樹立するために、新たな誘導方法の導入も検討している。 内胚葉誘導後にドキシサイクリンを添加し、導入した転写因子を発現させた。転写因子のmRNAの発現は定量的PCRにて、タンパク質の発現はウェスタンブロッティング法にて確認した。その後、ドキシサイクリン存在下で培養を継続し、胸腺上皮細胞が分化初期から発現する遺伝子(EPCAM、ケラチン5/8(KRT5, KRT8)、 TEC特異的プロテアソーム・サブユニット(PSMB11))が発現することを定量的PCRにて確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究遂行において一番重要なTECマスター転写因子を発現するiPS細胞の樹立に成功し、TEC関連遺伝子の発現が確認できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、iPS細胞から誘導したTEC様細胞が、(1) TEC関連遺伝子を適切な量で発現していること、(2) TECの成熟に伴い発現する遺伝子を発現しているかどうかを評価する。
|
Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大により研究遂行可能期間が減少し、学会発表のための出張も無くなった。そのため、物品使用額が見込みよりも減り、旅費支払いがなくなったため次年度使用額が生じた。次年度では動物実験の費用を含めた物品費に使用する。
|