2021 Fiscal Year Research-status Report
不妊マウスから単離された新規原因遺伝子Adamtsl2による卵巣機能制御の解明
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20K06470
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
辻 岳人 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (90314682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若井 拓哉 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (60557768)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ADAMTSL2 / 卵巣 / ミュータントマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
正常マウス卵巣におけるADAMTSL2タンパク局在を明らかにするため、4領域の異なる組換えタンパクを抗原とするウサギポリクローナル抗体を作製し、Adamtsl2遺伝子変異をもつミュータントマウスと正常マウスの卵巣およびその他組織における免疫染色を実施した。それぞれの組織において一定の陽性反応は得られるものの特異性が十分と判断できるシグナルを得ることかができなかった。さらに、in situハイブリダイゼーションによる卵巣におけるAdamtsl2遺伝の発現様式についても解析を行なった。結果として、シグナル強度は弱いものの特定の細胞に限定した発現様式を確認した。また、Adamtsl2遺伝子変異による卵巣、子宮、下垂体への影響を解析するため、RNA-seqによるミュータントマウスと正常マウスでの網羅的な遺伝子発現量の比較をおこなった。その結果、ミュータントマウスにおいてステロイドホルモン合成経路の酵素や複数のホルモンの遺伝子発現が際立って低下していることが明らかになった。一方、これまでに相互作用因子として報告されている細胞外マトリックスの遺伝子発現には差がなかった。さらに、Adamtsl2遺伝子変異によるタンパク局在への影響を解析するため、前年度作製した全長のAdamtsl2遺伝子発現ベクターおよび遺伝子変異から予想される短縮型のAdamtsl2遺伝子発現ベクターを培養細胞へ導入してタンパク局在への変化を比較した。その結果、正常な全長のADAMTSL2タンパクは細胞外での局在が確認されたが、短縮型では細胞内にのみ局在が確認され、異常タンパクとして小胞体へ取り込まれていることが予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたADAMTSL2抗体を用いた研究に関して成果が得られなかったが、その代わり遺伝子発現レベルでの解析から一定の成果を得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
Adamtsl2遺伝子の卵胞発育過程での発現について、In situハイブリダイゼーションによるさらなる検出感度の向上のため増感試薬および新規プローブを使用する。また、RNA-seqにより注目される遺伝子効果とAdamtsl2遺伝子変異によりもたらされる卵巣機能変化との関連性について、発現様式および相互作用の可能性を解析する。
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Causes of Carryover |
予定していた実験内容の一部を実施できなかったため。
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