2020 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical study for mitotic chromosome assembly
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20K06482
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
境 祐二 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (70631779)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 染色体 / クロマチン動態 / 高分子物理 / ソフトマター物理 / 分子動力学 / イメージング / オルガネラ |
Outline of Annual Research Achievements |
分裂期染色体の形成はコンデンシン、トポイソメラーゼが重要な関連因子である。コンデンシンは、染色体にスーパーコイル・ループを形成する機能がある。また、コンデンシンどうしが引力相互作用することが示唆されている。トポイソメラーゼは染色体どうしのすり抜けを可能にする。近年、共同研究者のコンデンシン部分欠損、およびトポイソメラーゼ濃度を変化させる実験において、染色体形成や分離に与える影響が調べられ、様々な染色体形成の表現型が示された。申請者は、この表現型の違いが、コンデンシンによるクロマチン・ループ形成や引力相互作用の違い、トポイソメラーゼによるクロマチンすり抜けの違いによって説明できないかと考え、これらのコンデンシンやトポイソメラーゼの効果を数理モデル化し、シミュレーションを用いて解析した。 トポイソメラーゼの効果は、排除体積ビーズ間距離としてモデル化しシミュレーションした。ビーズすり抜け効果が全くない場合は染色体分離は起こらない。コンデンシンの引力相互作用はビーズすり抜け効果が強いときは染色体分離に有利に働くが、すり抜け効果が弱くなると染色体分離に逆に働 くことを示した。さらに、コンデンシンによる引力相互作用とクロマチン・ループ形成、トポイソメラーゼによるクロマチンすり抜け効果の強弱によって、実験で観察される表現型を再現可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
zoomを通して共同研究者との議論を活発に行った。申請者の数理モデルによる解析結果と共同研究者のコンデンシン変異実験結果との比較を行い、論文につながる結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
凝縮染色体内部のクロマチン動態について数理モデルとシミュレーションを用いて解析を行う。共同研究者の超解像蛍光顕微鏡を用いた動態計測により、棒状染色体内部のコンデンシン軸に近い領域と染色体表層の領域ではクロマチンの動態が異なり、軸中心ではクロマチンの動きが早く、表層では動きが遅いという結果を得ている。来年度は、この測定結果が何に由来するのかを数理モデルとシミュレーションを用いて解析していく。
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Causes of Carryover |
コロナ により出張がなくなったため差額が生じた。 次年度の予算額と合算して高性能のワークステーションの購入に当てるため繰り越すこととした。
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Research Products
(3 results)