2022 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母の減数分裂開始を制御するRNA結合タンパク質の機能解析
Project/Area Number |
20K06500
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
山下 朗 基礎生物学研究所, 分野横断研究ユニット, 准教授(兼任) (30312276)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 減数分裂 / 分裂酵母 / 有性生殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、有性生殖に欠かせないプロセスである減数分裂の開始を制御する分子機構を、分裂酵母S. pombeを用いて明らかにすることを目標としている。分裂酵母は、栄養源が枯渇すると無性的な増殖である栄養増殖を停止し、有性生殖過程へと移行して減数分裂を行う。外界の栄養状態が細胞内でTORキナーゼ経路を介して伝達され、最終的にRNA結合タンパク質Mei2が活性化することで減数分裂が誘導されることが示されている。また、Mei2が減数分裂開始制御とは独立して、減数分裂の進行に欠かせない遺伝子群の発現制御を行っていることが明らかにされている。しかし、減数分裂開始のスイッチ分子としてのMei2の機能は未だ不明である。栄養源認識からMei2の活性化に至る、TORキナーゼを中心とするシグナル伝達の経路にも不明な点が多く残されている。本研究では、Mei2の減数分裂誘導活性と栄養源認識からMei2の活性化に至る経路を明らかにし、分裂酵母の減数分裂開始制御機構の全体像を解き明かす。 Mei2による減数分裂誘導機構を明らかにするための、遺伝学的スクリーニングにより得られてきた新規Mei2関連因子の解析を行った。その結果、減数分裂期に働く遺伝子群がクロマチン構造の変化によって発現制御されている可能性が浮かび上がってきた。Mei2の下流で発現制御を受けている減数分裂遺伝子群の解析を進め、減数分裂前期に見られる特徴的な核運動が生み出される仕組みを明らかにし、報告した。また、TORキナーゼの変異を抑圧する変異体の単離、解析を行った結果、栄養状態に応じた生殖モードの切り換えにおいて、翻訳開始制御が重要な役割を果たしていることを明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] An ecl family gene ecl3+ is induced by phosphate starvation and contributes to sexual differentiation in fission yeast2023
Author(s)
Ohtsuka, H., Sakata, H., Kitazaki, Y., Tada, M., Shimasaki,T., Otsubo, Y., Maekawa, Y., Kobayashi, M., Imada, K., Yamashita, A., Aiba, H.
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Journal Title
Journal of Cell Science
Volume: 136
Pages: jcs260759
DOI
Peer Reviewed / Open Access