2021 Fiscal Year Research-status Report
エクソソーム局在性膜タンパク質EAAC1およびCD63の構造解析
Project/Area Number |
20K06515
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
浜口 祐 国立研究開発法人理化学研究所, 放射光科学研究センター, 研究員 (00587876)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グルタミン酸輸送体 / クライオ電子顕微鏡 / 単粒子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス由来グルタミン酸トランスポーター(EAAC1)について,Expi293F株を用いた高発現系の確立と,精製法の最適化を行った.EAAC1はグルタミン酸だけでなく,システインの輸送にも関わることが提唱されており,その輸送機構の解明を目指し,システイン存在下での精製を行った.また同時にクライオ電子顕微鏡撮影において妨げとなる塩,界面活性剤,安定化剤などの低濃度条件下において,EAAC1をmg/mlオーダーにて精製することに成功した.また,界面活性剤とともに共存する脂質量を調製することで,濃縮効率と安定性が改善された. 得られたEAAC1を用いて,ネガティブ染色電子顕微鏡観察法により粒子の可視化を試みたところ,均一性が評価でき,得られた粒子のサイズ分布はEAAC1が3量体で存在する際に想定される粒子径とおおむね同じであった.このことから,EAAC1が本来の機能を維持した状態で精製できたものと考えられた.このように調製したEAAC1についてクライオ電子顕微鏡構造解析に向けて様々なグリッド作成条件を検討を行ったところグルタミン酸輸送体と思われる像の撮影に成功した.また,粒子には界面活性剤に由来すると考えられるミセルバンド像も見られた.しかし,界面活性剤存在下でのグリッド作成時に頻出する粒子の低分布・低密度化が生じており,さらなる高濃度化が必要であると考えられた.現在までにサンプルの培養,可溶化,精製を繰り返し,構造解析を実現可能な量の試料調製を行った. また,テトラスパニンについては細胞中での高発現が確認できており,様々な可溶化,製紙恵方を試みたが,現在までに均一なタンパク質粒子としては得られていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グルタミン輸送体について,現在までにクライオ電子顕微鏡構造解析に向けた試料調製系を確立し,粒子像を捉えるにいたっており,おおむね計画通りと考えいる. テトラスパ人についてはExpi293Fを用いた高発現系において発現は確認できているが,不均一な凝集粒子として検出されており,単粒子構造解析に適した均一な粒子として得られていない.
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Strategy for Future Research Activity |
グルタミン酸輸送体については現在までに粒子像が得られ,その低密度状態を改善すべく十分な試料を調製しおり,クライオ電子顕微鏡の高度化に伴うハイスループット化と併せて構造解析が可能であると期待している. テトラスパニンについては蛍光顕微鏡観察により細胞膜上で高度に凝集し,局在しているものと考えられた.また,精製標品の粒子不均一性から少なくとも単離,精製することで不安定化しているものと考えられたため,クライオFIB-SEMおよびクライオ電子線トモグラフィー,サブトモグラム構造解析を用いて生体膜中での構造解析を試みる.
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Causes of Carryover |
初年度でGPUサーバーを想定より安価で購入できたことから,本年度でも次年度使用額が称している.R4年度から所属が変わったため,試料のデータ収集が現在までとは異なり輸送する必要がある.このため,次年度使用額で試料輸送に必要な物品を確保したい.
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