2020 Fiscal Year Research-status Report
Rapid design and preparation of artificial antibodies to inhibit immune checkpoints
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20K06516
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮武 秀行 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (50291935)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント阻害剤 / in-silico変異実験 / in-cell分子相互作用アッセイ / オプジーボ (Nivolumab) / 非IgG人工抗体 / タンパク質工学 / 結晶構造 / T細胞再活性化活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、免疫チェックポイントタンパク質Programmed Cell Death-1 (PD-1)のIgV様ドメインを改変し、PD-1/PD-L1免疫チェックポイントの阻害剤として利用することを目指す。 まず、PD-1/PD-L1複合体の結晶構造(PDB ID: 4ZQK)を用いて、in-silico変異実験を行った。PD-L1と相互作用するPD-1の14残基について、コンピュータ上で他の19残基に変異させ、結合エネルギーを増加させるPD-1変異体を選択した。 次に、分割ルシフェラーゼ (NanoBiT)をPD-1変異体およびPD-L1にそれぞれ結合させたプラスミド を調製し、HEK293細胞に共トランスフェクションさせた。発光基質として、フリマジン(Furimazine)を加え、発光強度を測定することにより、PD-1変異体の親和性を細胞内で測定した。その結果、2残基変異体PD-1 (T76Y, A132V: 2PD-1)が最も強い発光強度を示すことが分かった。 そこで、大腸菌により、野生型PD-1および2PD-1の大量発現を試みたが、発現タンパク質の不溶性画分のみが得られた。そこで、リフォールディング法により、不溶性画分の可溶化を試みたところ、可溶性PD-1および2PD-1の大量調製に成功した。 そこで、(BioLayer Interferometry: BLI)法により、PD-1/PD-L1および2PD-1/PD-L1間の相互作用kineticsを測定した。その結果、2PD-1の1の平衡解離定数(KD)は、野生型と比較して、約140倍ほど向上したことが分かった。 さらに、T細胞再活性化活性を、市販アッセイキットを用いて測定したところ、2PD-1は野生型と比較して、EC50は約90倍向上した。一方で、nivolumab(オプジーボ )と比較すると、約50倍ほど弱かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度の本研究成果は、国際雑誌に発表することができた(Ning, B. et al. Development of a Non-IgG PD-1/PD-L1 Inhibitor by in Silico Mutagenesis and an In-Cell Protein-Protein Interaction Assay, ACS Chemical Biology, 16(2), 316-323 (2021)). また、本論文はsub cover artにも採用された。 研究成果の誌上発表は、本研究計画では最終年度に行う予定であったが、実験が順調に進んだため、大幅に前倒しすることができた。 従って、現在までの進捗状況については、「当初の計画以上に進展している」としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2PD-1のT細胞再活性化活性は、なおnivolumabと比較して弱いため、その向上を目指す。具体的には、Steered Molecular Dynamics (SMD)等のコンピュータシミュレーションを駆使し、より親和性を向上させたPD-1変異体(2PD-1 ver.2)の調製を試みる。さらなる高親和性変異体が得られれば、担がんマウスを用いた動物実験により、抗がん効果を確認する。 一方、本研究で手法を確立した、in-silicoおよびin-cell複合選択方法を、さらに他の抗がん剤ターゲット(mTOR、VEGFなど)にも適応し、新規な抗がん剤の調製にも挑戦する。
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Causes of Carryover |
本年度は、コロナ禍による自粛期間の影響もあり、ウエット実験が当初の予定通りほどは進まなかった。そのため、試薬類の購入金額が、予定よりも下回った。また、外注による動物実験を今年度は行わなかったため、次年度以降に行う予定である。 SMDシミュレーションのための、スパコン使用料を次年度以降に計上したい。また、mTORを標的としたスクリーニング化合物の購入等にも本予算を使用する予定である。
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