2021 Fiscal Year Research-status Report
Rapid design and preparation of artificial antibodies to inhibit immune checkpoints
Project/Area Number |
20K06516
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮武 秀行 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (50291935)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | in silico/in cell選択 / コンピュータ創薬 / 免疫チェックポイント / PD1/PD-L1 / mTORC1 / Rheb / 抗がん剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
オプジーボを始めとする免疫チェックポイント阻害剤は、モノクローナル抗体薬の一種であり、優れた抗がん効果を発揮する。一方で、真核生物細胞による製造コストが高く、翻訳後の糖鎖修飾などにより、予想外の副作用が現れることなどの課題もある。 そこで本研究では、申請者の開発した、in silico/in cell複合選択法により、オプジーボを代替する非モノクローナル抗体(non-IgG)型の免疫チェックポイント阻害タンパク質を開発することを研究目的とする。 現在までに、免疫チェックポイントタンパク質PD-1をベースに、免疫チェックポイントタンパク質PD-L1に高親和性に結合する、2PD-1の開発に成功した。細胞実験により、2PD-1はT細胞を再活性化することが分かった。これらの研究成果を、学術誌に発表した。 また、in silico/in cell複合選択法をさらに発展させ、セリンスレオニンキナーゼであるmTORC1の阻害剤の開発にも取り組んでいる。mTORC1は多くのがん細胞で活性が亢進しており、また、免疫にも関与している。現在までに、mTORC1の新規阻害剤WRX606を調製した。細胞実験および動物実験により、WRX606はmTORC1をピンポイントで精密に阻害し、マウスを使用した動物実験でも、抗がん効果を確認した。以上の研究成果は学術誌に発表し、WRX606についての特許申請も行った。 今後は、スーパーコンピュータを用いた水系MDおよびsteered MD (SMD) シミュレーションにより、分子間相互作用をさらに高精度に解析する。これにより、2PD-1やWRX606の、更なる効果の向上を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
非IgG型免疫チェックポイント阻害タンパク質2PD1の開発については、すでに学術誌(Ning, B. et. al. ACS Chemical Biology, 2021)に発表しており、これは、当初の研究計画に沿った進捗である。 また、in silico/in cell複合選択法をさらに発展させ、mTORC1の阻害剤の開発に成功したことは、当初の研究計画を超えた進捗である。この研究成果は、学術誌(Shams, R. et al. ACS Medicinal Chemistry, 2022: Shams, R. et al. Int J Mol Sci, 2022)に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫チェックポイント阻害タンパク質2PD-1の更なる高親和性化を試みる。手法としては、まず、2PD-1に、PD-L1との相互作用を増強するための、フレキシブルループ(FL)を導入した、2PD-1FLを設計する。AlphaFold-multimerにより、2PD-1FLとPD-L1との複合体構造を計算する。さらに、スーパーコンピュータによるMDシミュレーションにより複合体構造を最適化し、結合自由エネルギーを計算して、複合体構造の安定性を評価する。さらに、2PD-1FLを大腸菌で発現させ、大量調製し、PD-L1との親和性をAlphaLISAにより測定する。さらに、動物実験により、2PD-1FLの抗がん効果を確認する。 また、WRX606については、Helaや4T1以外のがん種についても、抗がん効果を確認する。
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Causes of Carryover |
本年度には、マウス等による動物実験を実施予定であり、それにかかる必要な予算を繰り越して確保した。
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