2022 Fiscal Year Annual Research Report
NiFe型ヒドロゲナーゼの成熟化における一酸化炭素の輸送機構の解明
Project/Area Number |
20K06517
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村木 則文 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (20723828)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒドロゲナーゼ / 金属酵素 / 複合体構造 / 結晶構造解析 / クライオ電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
NiFe型ヒドロゲナーゼは活性中心にある金属クラスターを用いて水素の酸化反応・プロトンの還元反応を可逆的に触媒する酵素である。本研究では、NiFe型ヒドロゲナーゼの活性中心構築(成熟化)過程の解明に向けて、金属クラスターの前駆体形成に関わるHypC, HypD, HypXに着目して、これらの過渡的な複合体構造の決定と構造的特徴づけを目指している。 前年度までに、ゲルろ過クロマトグラフィやMALS、小角散乱 (SAXS) 、クロスリンク実験によってHypC-HypD-HypXが1:1:1の三者複合体を形成することを確認した。また、本研究の開始段階から、HypC-HypD-HypX三者複合体の結晶化スクリーニングを続けてきたが、結晶は得られなかった。最終年度では、クライオ電子顕微鏡を用いて三者複合体の単粒子構造解析を試みた。ゲルろ過クロマトグラフィによって単離した三者複合体を用いてグリッドを作成して、クライオ電子顕微鏡画像を取得した。構造解析に十分な画像が得られたので、構造計算に取り組んでいる。 研究期間全体を通して、2つの成果が得られた。一つは、好気性細菌Aquifex aeolicus由来のHypCとHypDの単体の結晶構造を決定できたことである。HypDでは、同型の結晶であるにも関わらず結晶毎に異なる2つの構造多形をもつことが見出された。さらに、回折強度の相関関数によって構造多形を判断できることを示した (Matsuura et al., 2022, BioRxiv)。2つ目は、三者複合体についての構造情報を得られたことである。X線小角散乱やクロスリンク質量分析、クライオ電子顕微鏡による単粒子解析によって、構造が明らかになりつつある。今後は、得られた情報を精査することで、複合体形成による効率的な一酸化炭素輸送機構を解明したい。
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Research Products
(5 results)