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2020 Fiscal Year Research-status Report

α4Gal転移酵素はどのように基質の糖タンパク質/糖脂質部分を識別するのか?

Research Project

Project/Area Number 20K06520
Research InstitutionNiigata University

Principal Investigator

鈴木 詔子  新潟大学, 自然科学系, 博士研究員 (50401237)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords糖転移酵素 / 糖タンパク質 / 糖脂質 / 基質特異性 / 志賀毒素 / 糖鎖 / 遺伝子重複
Outline of Annual Research Achievements

Galα1-4Gal配列はヒトなどの哺乳類ではglobotriaosylceramide (Gb3, Galα1-4Galβ1-4Glc-Cer, Cer: ceramide)やP1抗原(Galα1-4 Galβ1-3GlcNAcβ1-3Galβ1-4Glc-Cer)などとして 糖脂質上に発現しており、志賀毒素の受容体として利用されるが、糖タンパク質上には通常見られない。これは、Galα1-4Galを生成するα4-ガラクトース転移酵素(ヒトα4GalT)が糖脂質に対して基質特異的に働き、糖タンパク質に対しては作用しないためと考えられる。一方、ハトなどある種の鳥類ではGalα1-4Gal配列が糖タンパク質上に豊富に存在する。私たちは、これまでの研究でGalα1-4Gal配列を糖タンパク質上に生成するハト由来のα4GalT(ハトα4GalT2)をコードする遺伝子を同定した。ハトα4GalT2はヒトα4GalTとアミノ酸配列で58.2%のidentityがある。さらに、ハトのゲノム上には、α4GalT遺伝子と相同性のあるものが、7つ存在する。本研究では、このハトゲノム上のα4GalTホモログのうち3つをクローニングし、293T細胞に発現させてその酵素活性について調べた。その結果、ハトα4GalT1はヒトα4GalTと同様に糖脂質に作用してGb3を生成すること、ハトα4GalT2は主に糖タンパク質に作用することを明らかにした。一方、α4GalT3はα4GalT2と92%のidentityがあるにも関わらず、いずれの活性も見られなかった。これらの結果から、ハトにおいてはGalα1-4Gal配列を糖脂質上に生成する酵素と糖タンパク質上に生成する酵素の少なくとも2種類が存在し、さらに基質特異性が不明なホモログも複数存在することが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ハトゲノム上に存在する7つのα4GalTホモログを比較するために分子系統樹を作成すると、大きく2つのグループに分かれることが分かる。すなわち、糖脂質に作用するα4GalT1のグループ(α4GalT1とα4GalT4)と糖タンパク質に作用するα4GalT2のグループ(α4GalT2~3, 5~7)に大別される。また、セキセイインコやアデリーペンギンなど他の鳥類の多くは、α4GalT1ホモログとα4GalT2ホモログの2つのみをゲノム上にもつ。このことから、ある種の鳥類(Neoaves)ではα4GalT遺伝子が遺伝子重複し、変異によって基質特異性の異なる2種類の酵素が産生されるようになったと考えられる。その後、ハトのゲノムにおいてはそれぞれの酵素遺伝子がさらに遺伝子重複を繰り返して複数のα4GalT遺伝子をもつようになったと考えられる。このように、遺伝子を発現させて実際の酵素活性を調べるだけでなく、ゲノム上での遺伝子重複の生じる仕組みを調べることで、糖転移酵素の基質特異性が進化的に変化するメカニズムを調べることができると期待される。

Strategy for Future Research Activity

私たちは、これまでの研究からヒトα4GalTでもその遺伝子を培養細胞に過剰発現させると糖タンパク質のN型糖鎖上にも少量ながらGalα1-4Galを発現することを明らかにした。興味深いことに、最近、他のグループからもヒトα4GalTの基質特異性に関する類似の報告があった。彼らはヒトα4GalTの変異型の一つ(Q211E)がGalα1-4Gal配列のみでなく、Galα1-4GalNAc配列も生成し、しかも野生型に比べて糖脂質のみでなく糖タンパク質へも作用しやすいという結果を示している。したがって、このQ211E変異型は、糖タンパク質/糖脂質の基質特異性の変化をもたらす部位の一つである可能性がある。しかし、この変異はハトα4GalT遺伝子には見られないため、この基質特異性の変化は別のメカニズムに起因する可能性も考えられる。いずれにしろ、今後は当該研究と関連深い研究が他の研究グループから発表される可能性が高いため、その動向には注意が必要である。
本研究では、引き続きハトのゲノム上に存在するα4GalTホモログの基質特異性に着目し、遺伝子重複後に変化したアミノ酸配列と酵素活性の関係を調べることで、α4GalTが糖タンパク質/糖脂質を識別するメカニズムを明らかにする予定である。

Causes of Carryover

物品費としてバイオメディカルフリーザーの購入を予定していたが、設置場所が確保できなかったため、次年度以降に購入する予定である。また、学会等に参加するための旅費を計上していたが、学会が誌上開催になったり、online開催になるなどの変更が生じたため、使用する機会が減少した。一方、研究成果はいくつかの論文としてまとめて発表することが出来たため、次年度以降に複数の学会や研究会に参加して総括的な発表をする予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2021 2020

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results,  Open Access: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Toward robust N-glycomics of various tissue samples that may contain glycans with unknown or unexpected structures2021

    • Author(s)
      Suzuki Noriko、Abe Tatsuya、Hanzawa Ken、Natsuka Shunji
    • Journal Title

      Scientific Reports

      Volume: 11 Pages: -

    • DOI

      10.1038/s41598-021-84668-x

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Blood group P1 antigen?bearing glycoproteins are functional but less efficient receptors of Shiga toxin than conventional glycolipid-based receptors2020

    • Author(s)
      Morimoto Kanta、Suzuki Noriko、Tanida Isei、Kakuta Soichiro、Furuta Yoko、Uchiyama Yasuo、Hanada Kentaro、Suzuki Yusuke、Yamaji Toshiyuki
    • Journal Title

      Journal of Biological Chemistry

      Volume: 295 Pages: 9490~9501

    • DOI

      10.1074/jbc.RA120.013926

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Sequential modifications of glycans by linkage-specific alkylamidation of sialic acids and permethylation2020

    • Author(s)
      Abe Tatsuya、Kameyama Akihiko、Natsuka Shunji、Suzuki Noriko
    • Journal Title

      Analytical Biochemistry

      Volume: 606 Pages: 113861~113861

    • DOI

      10.1016/j.ab.2020.113861

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] P1糖鎖エピトープを有する糖タンパク質の志賀毒素受容体としての機能解析2020

    • Author(s)
      森本貫太、鈴木詔子、谷田以誠、角田宗一郎、古田陽子、内山安男、花田賢太郎、鈴木佑典、山地俊之
    • Organizer
      日本糖質学会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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