2022 Fiscal Year Research-status Report
放射光と中性子の連携利用による電子伝達タンパク質の精密構造解析
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20K06523
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
三木 邦夫 京都大学, 理学研究科, 名誉教授 (10116105)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤橋 雅宏 京都大学, 理学研究科, 助教 (10397581) [Withdrawn]
玉田 太郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学領域, グループリーダー(定常) (50391248)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 電子伝達タンパク質 / 精密構造解析 / 中性子線回折 / 放射光Ｘ線回折 / 電荷密度解析 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
二種の電子伝達タンパク質を対象に，放射光X線と中性子線を併用した高分解能・高精度の精密構造解析を行い，それぞれの構造における水素原子や外殻電子の振る舞いを明らかにすることで，タンパク質の機能の直接的理解を目指した．
光合成細菌で反応中心複合体への電子伝達を担う高電位鉄イオウタンパク質（HiPIP）については，これまで得られていた分解能を上回る中性子回折データの取得を目指した測定を行った．2021年に運転再開した研究用原子炉JRR-3において，より高分解能の中性子回折データが収集できるよう改良した生体高分子用回折装置BIX-3を用いて測定を行い，昨年度報告した解析結果における1.2A分解能を大幅に上回る0.9A分解能の回折データの収集に成功した．新たに取得した回折データを用いて構造解析・構造精密化を行い，得られた構造の検討を進めている．
肝ミクロソームの電子伝達系ではたらくNADH-シトクロムb5還元酵素（b5R）については，b5Rの関与する酸化還元反応サイクルにおける酸化型の中性子結晶構造解析，および還元型のX線結晶構造解析を継続し，それぞれの構造精密化を完了した．その結果，高分解能中性子構造解析では，異なるpH（pD）において，FADからタンパク質表面への水素結合ネットワークでのプロトン化に違いがあることが明らかになり，酸化型の安定化に寄与する補因子周辺の水素結合の詳細を明らかにすることができた．また還元型の高分解能X線構造解析では，補因子に結合する水素原子の電子密度の観測に成功し，ヒドリド移動に重要な補因子の詳細な立体構造情報を得ることができた．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのコロナ禍の影響を受けて，回折データ測定については当初計画からの遅れは完全には取り戻せていないが，研究計画の実施方法の修正などにより，当初計画に近い進捗状況にすることができた．
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| Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画を遂行できるように，実験内容の修正も含めて，円滑な研究推進を行う予定である．
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| Causes of Carryover |
今年度もコロナ禍の影響を可能な限り小さくするように努めたが，放射光や中性子の施設を利用する実験の一部については，完全には計画通りに遂行できていないところもあり，放射光および中性子実験のために計上していた経費は次年度に使用することとした．成果発表や情報収集のため出席する予定であった海外での国際学会には未だ参加できていない．また，研究代表者・分担者間の研究打合せについては，今年度は対面での実施を多く行ったが，それまでに執行できなかった経費の一部は持ち越したため，次年度に使用することとした．
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