2021 Fiscal Year Research-status Report
Studies on glycopeptides containing a rare sugar 6-deoxyaltrose secreted from vertebrate embryos
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20K06539
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
長束 俊治 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00243163)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 糖ペプチド / 希少糖 / ゼブラフィッシュ / 孵化腺 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究によって6-デオキシアルトロース(6dAlt)を糖鎖の末端に持つ糖タンパク質を2種類同定できたので、次の段階として6dAlt含有糖鎖の生理機能の探索を目的とした研究を始めた。具体的には、6dAlt合成酵素遺伝子を改変して表現型の変化を観測することを計画している。その研究を実施するために本年度は、当該の酵素遺伝子の特定のための実験系の構築を行った。当該遺伝子の特定には6dAlt合成酵素の活性測定が必須であるが、基質や生成物の標品を得ることが困難であるため、複数の候補遺伝子のゲノム編集による欠失処理により検出することを計画している。しかし、通常の糖鎖構造解析法では、多くの胚体数と処理分析時間が必要なことから、6dAlt含有糖鎖を少ない個体数から簡便に検出する手法を開発した。本手法を用いれば、数個の48時間胚から、特徴的構造を持った3糖および4糖の6dAlt含有糖鎖を迅速に検出することが可能になった。これにより複数の候補が存在する6dAlt合成酵素遺伝子の欠失実験による特定が可能となった。 一方、前年度に同定できた6dAlt含有糖タンパク質は2種類ともN-型であったので、O-型、特にムチン様糖タンパク質の探索を続けた。これは、N-型糖タンパク質が共に、微生物などの外因性因子との相互作用に機能を持つものであったことと、以前の研究により、ムチン型糖鎖の末端にも6dAltを見出していたことからムチンタンパク質にも6dAltを含むものがあると推察したからである。タンパク質分解酵素を種々試すことによってLC-MSで解析可能な糖ペプチド断片を得ることができ、新規なムチン様タンパク質を同定することに成功した。この糖タンパク質は、セリン、スレオニンに富む100以上の短い繰り返し配列からなり、ムチン型糖鎖が結合している多くのペプチド断片が検出されたことから、ムチンであると推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では目的を、糖鎖構造解析実験による6-デオキシアルトロース(6dAlt)を糖鎖の末端に持つ糖タンパク質のタンパク質部分の同定と、遺伝子改変実験による6dAlt含有糖ペプチド/糖タンパク質の機能解析である。そのうち前者の目的を初年度に達成し、本年度には、改変すべき遺伝子の同定のための分析手法の開発を完了することができた。したがって、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
6dAlt合成酵素の候補遺伝子はゼブラフィッシュのゲノムに3種類存在する。そのうち1つは生物界に広く存在するフコース合成酵素(FX)であることから、実質2種類に絞られる。それらの遺伝子をゲノム編集により欠失させ、今年度に開発した簡便・迅速な6dAlt含有糖鎖検出法を用いて6dAltの消失を検出することにより、目的の6dAlt合成酵素遺伝子を特定する。同時に、欠失個体の表現型の変化を観測することにより6dAlt含有糖鎖の生理機能について解析する。
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Research Products
(1 results)