2022 Fiscal Year Annual Research Report
Structural study of pro-filaggrin recognition by SASPase
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20K06540
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
帯田 孝之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (30578696)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | X線結晶構造解析 / 酵素反応 / SASPase / Filaggrin |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎の発症要因として皮膚のフィラグリン分子の機能異常が知られており、国内外で盛んに研究されている。近年、アスパラギン酸型酵素SASPaseがプロフィラグリンを限定分解すること、遺伝子欠損マウスでは乾燥肌様皮膚を呈することが示されたが、基質認識の特異性など、その活性機構は未だ明らかとなっていない。そこで、本研究の大きな目的は、SASPaseの基質認識機構を原子レベルの精度で明らかにすることである。 まず初めに、ヒトおよびマウスのSASPaseの基質結合型およびアポ型について、結晶化を試みた。そして、SASPaseの酵素活性ドメイン単独、および全長に関してX線結晶構造を決定した。また、逆相HPLCを用いて酵素活性をおこない、SASPaseがFilaggrin由来の基質に対して、特異的に活性を示すことを明らかにした。次に、SASPaseとFilaggrin複合体の結晶化をおこない、分解能約1.9オングストロームで反射データを得た。空間群は、P3122で、単位格子中に2分子の複合体が含まれていた。すでに決定した酵素活性ドメイン単独の結晶構造を鋳型として分子置換法をおこない、構造精密化を終了させた。その結果、基質Filaggrin由来のペプチドが、活性部位に結合し、SASPaseが認識している様子が明らかとなった。この活性部位には、酵素活性ドメイン単独の場合には自己ペプチドが結合しており、基質Filaggrinが同じ位置に結合している様子が明らかとなった。続いて、結合に関与するアミノ酸残基の変異が活性に与える影響を調べた。その結果、P2とP2'の位置には、SASPaseの疎水性ポケットに入り込むVal,Leu,Ileが好ましく、P1の位置にはP3(Phe)とπ-πスタッキング相互作用を形成することができるTyr,Pheが好ましいことが示された。
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